2019年8月24日(土)

移民先進国の米で人気 ネットで探る自分のルーツ
瀧口 範子(フリーランス・ジャーナリスト)

2016/2/4 12:00
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アメリカでひそかに人気のインターネット・サービスがある。先祖をたどって何世代もさかのぼり、自分のルーツ探しが簡単にできるサービスだ。いくつかあるが、アンセストリー・ドットコムがよく知られている。

遠縁の親戚とつながることがよくあるようだ(http://corporate.ancestry.com/press/resources/)

遠縁の親戚とつながることがよくあるようだ(http://corporate.ancestry.com/press/resources/)

先住民以外のアメリカ人は、もともとヨーロッパやアジアなど世界中からの出身者。ざっくりと自分はイタリア系であるなどとわかっていても、どこの出身で、どんな先祖がいたのかをよく知っている人は少ない。日本の戸籍のようなシステムもない。

アンセストリー・ドットコムでは、世界のさまざまな資料をサーチできるようにして、自分のルーツに少しずつ迫っていける。最初にやるのは、自分や親、親戚の名前や生年月日、住んでいた場所などを入力することだ。そこから、どんな資料にあたれば参考になるかのヒントが出てくるので、それらを検索していく。入力する記録は正確なものである必要はない。

アンセストリー・ドットコムは160億件に上る資料へのアクセスが可能だとうたっている。アメリカの国勢調査、婚姻記録、移民の入国記録、学校の学生名簿、兵役記録、古い新聞のデータベースなどである。それらをデジタイズ化し、古い手書きの記録も探せるようにして当該人物に関連する記録が呼び出せるようにしている。古いものでは、1575年にスコットランドなどからアメリカへ渡った船の乗客名簿もあるという。

ルーツ探しにことに役に立つのは、家系図だ。アンセストリー・ドットコムでは家系図をツールとして用い、家族や先祖のことが明らかになるにつれて、その家系図の枝葉が広がっていく。同じように家系図づくりをしている遠縁の親戚とばったりとつながるということもよくあるようだ。

現在、同サイトでは登録ユーザーが作った7000万の家系図があり、そこにユーザー自身が貼り付けた写真や記録などの資料が3億件あるのだが、これらも他のユーザーのための資料として提供される。これまでユーザー同士の家系図で関連性があったケースが80億件以上あったという。

このサイトができたのは、1996年。ルーツ探しはあまりの非効率さに挫折するケースが多かった。だが、オンラインの検索サービスのおかげで、先祖探しはどんどん人気になっているのだ。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

会費は、アメリカの記録にあたるだけならば月額19.99ドル(6カ月は99ドル)、国外の記録や新聞記録なども含めたフルサービスは月額44.99ドル(6カ月は199ドル)。納得のいったところで、登録を停止することができる。

DNA鑑定サービスも提供している。99ドルでキットを取り寄せ、唾液の標本を送り返して、2カ月ほどで結果をオンラインで見られる。33%はアイルランドなど、自分の先祖の構成がわかる。

同様のDNA鑑定サービスは他にもあるが、アンセストリー・ドットコムでは血縁のある別のユーザーを探し出すこともでき、知らなかった先祖の記録に行き当たるということもある。つまり、自分を解明しながら先祖と、知らない遠縁の親戚を探し出せるわけだ。

日本の戸籍の場合は、先祖をたどって名前はわかる。だが、アンセストリー・ドットコムのようなサービスでは、場合によっては先祖がどこに住んでいたとか、隣の家にはどんな家族がいたといった周辺事情までわかる。一度はまるとなかなか足が抜けそういない過去への冒険である。

[日経MJ2016年2月1日付]

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