お古の子供服、交換できる市 送ってポイントためる
箱で毎月届く有料制も
送料無料、手間少なく

「思い出が詰まっている服。大切に着てくれたらうれしいです」――。こんなメッセージが添えられた子供服が次々と届くのは、服の個人取引を仲介するキャリーオン(東京・港)のオフィスだ。同社は利用者から着られなくなった子供服を送ってもらうと、ポイントを付与。たまったポイントはサイトで欲しい服と交換する仕組みだ。ポイントがない場合、ネット通販のように購入もできる。
まず利用者がサイトで申し込むと、服を入れる専用バッグが届く。それに服を入れて送り返す。送料はかからない。同社は服の状態を確認して価格を査定。服を撮影してサイトに掲載する。売買で利用者同士のやり取りはない。現在の登録者は約7000人。これまで1万8000点の服や帽子、靴などが出品された。「新品で買うと高いブランドの服は人気が高く、すぐ売れる」(吉沢健仁社長)。
「子育て中のママに役立ててほしい」。こう話す今西敦子さん(37)は、都内に住む2児の母親だ。祖父母などからもらった服には、あまり着ないうちに子供のサイズに合わなくなったものもある。「送るだけで後の手続きはやってくれるから手間がかからない」と満足そうだ。
希望するサイズの子供服を一度に何枚も入手できれば、手間はいっそう小さくなる。そこで箱に入った子供服をまとめて受け取るサービスも登場した。トランクルーム運営の寺田倉庫(東京・品川)とネットベンチャーのボノボ(東京・目黒)が昨年6月から始めた子供服の交換サービス「マイクル」だ。着なくなった子供服を送るとポイントがもらえ、たまると服が10着前後入った箱と交換できる。どの箱にどんな服が入っているかは、あらかじめサイト上の写真を見て確認できる。このため、性別やサイズなどに応じて好きな箱を選べる。
希望サイズまとめて
マイクルでは会員制も導入。毎月1200円を払うと、月1回子供服の詰まった箱をもらうことができる。現在、同社で対応している子供服のサイズは90~100センチだが、2月から70センチまで引き下げて扱う種類を増やす予定だ。服の集荷や検品、写真撮影などは寺田倉庫が担当。服が売れた場合は同社の倉庫から購入者のもとに届く。

「これまでは着なくなった子供服をやり取りする手段が少なかった」とボノボの谷本直人社長は語る。服を譲ったり、交換したりする相手はママ友や親戚など小さいコミュニティーに限られていたという。「ネットを使ったサービスで交換相手は全国に広がった」(谷本社長)。
スマートフォンを使ったフリーマーケット(フリマ)運営のメルカリ(東京・港)でも服を中心に子供関連の商品数は270万点を超え、全体の1割強を占める。おもちゃや絵本などもあり、豊富な種類がサービスの特徴だ。「出品から24時間以内に売れる商品も多い」(同社)。
フリマの醍醐味は出品者と購入者が交わすコミュニケーションにある。メルカリの場合、スマホでメッセージをやり取りしながら値下げ交渉が繰り広げられている。不要な服を売ったり、欲しい服を買ったりしたいときにネットで交換や売買するサービスは今後も広がりそうだ。
(電子編集部 古山和弘)
[日本経済新聞夕刊2016年1月28日付]
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