道半ばのブラック企業対策

2016/1/25 3:30
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過酷な労働を強いる「ブラック企業」対策の新たな制度が3月から始まる。法令違反を繰り返す企業からの新卒者の求人はハローワークが受理を拒否できるようにする、といった内容だ。

だが、これで十分とはいいがたい。労働関係法令の知識の普及や法令違反の取り締まり強化など、課題は多い。ブラック企業対策に幅広く取り組む必要がある。

新制度は昨年9月に成立した青少年雇用促進法で定められた。違法な長時間労働など法令違反を1年間に2回以上繰り返し、是正されていないといった企業は、国のハローワークが新卒求人を受け付けなくてもよいこととする。

また、新卒者を募集する企業に対しては、採用状況や労働時間、能力開発などに関して一定の情報提供を義務づける。

ただ、効果は限定的だろう。人材募集は求人誌やウェブサイトでも可能だ。募集時の情報提供の義務づけは学生などから求めがあった場合としており、内容も企業が選べる余地が大きい。

たとえば採用状況については、過去3年間の新卒採用者数・離職者数や平均勤続年数などのなかから、1項目を選ぶ仕組みだ。

企業には制度が定める以上の情報提供を求めたい。学生の要求がなくても働く環境などを自ら発信すべきだ。職場情報の自主的な提供が当たり前になれば、ブラック企業の排除への一歩になる。

学生は企業が出す情報を理解したり、それをもとに職場の様子を思い浮かべたりする力を養ってほしい。大学の役割は大きい。働く人を保護するための労働時間規制を定めた労働基準法をはじめ、基本的な労働関係法令を学生が学ぶ機会を増やしてはどうか。

違法行為の取り締まりでは、企業を監督指導する労働基準監督署の人員不足が指摘される。ハローワークの職業紹介業務の民間開放を進め、それに従事している公務員を監督指導業務に振り向けるのも一案だろう。自衛と取り締まりの両面に力を入れたい。

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