2019年2月19日(火)

財政健全化の目標達成へ足場固め直せ

2016/1/22 3:30
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内閣府が中長期の経済財政に関する試算をまとめた。

それによると、日本経済の成長率が名目で3%以上、物価変動の影響を除いた実質で2%以上で推移した場合でも、2020年度の国と地方をあわせた基礎的財政収支は6.5兆円の赤字になる。

赤字幅は、昨年7月時点の試算である6.2兆円から拡大した。政府は基礎的財政収支を20年度に黒字にするという目標を掲げているものの、その達成に向けたハードルがさらにあがった形だ。

日本の財政は先進国で最悪の状態だ。基礎的収支の黒字化の目標は達成しなければならない。政府はここで財政健全化に向けた足場を固め直し、歳出と歳入の両面から具体策を詰めるべきだ。

中長期試算で財政見通しが悪化したのは、政府が17年4月に導入する消費税の軽減税率の財源が固まっていないためだ。年間で約1兆円の減税のうち財源が決まっているのは約4千億円にとどまる。

政府・与党の一部では、税収が当初の想定から上振れする分を財源として期待する声がある。ただ、税収は景気次第で増えたり減ったりする。不確実な税収部分は安定した恒久財源ではない。

インボイス(税額票)導入により、納めるべき消費税が事業者の手元に残る「益税」は減る公算が大きいが、導入時期は21年度なので当面の財源とはならない。

歳出の削減か、増税か、あるいはその組み合わせか。成長戦略とあわせて政府・与党は具体的な財源論議から逃げてはいけない。

同時に、20年度までの実現可能な財政健全化の道筋を描く努力を怠ってはならない。特に注文したいのが、社会保障分野の歳出削減・抑制だ。社会保障は国の予算の最大の歳出だが、安倍晋三政権は切り込みが足りない。

経団連によると、12年度から14年度にかけて従業員の1人当たり賃金は約11万円増えた。しかし、約5万円は医療や年金などの社会保険料の負担増で打ち消され、手取りの賃金増加は約6万円にとどまったという。

賃上げがアベノミクスの「光」とすれば、抜本的な社会保障改革を素通りして歳出を十分に削り込めずにいるのは「影」の部分だ。

所得や資産にゆとりのある高齢者に負担増を求める。現役世代との間の過度な不均衡を改める。こうした痛みを伴う難題に、政権は真正面から取り組んでほしい。

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