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「善意のハッカー」育成 サイバー攻撃から企業守る
野呂 エイシロウ(放送作家・戦略PRコンサルタント)

2016/1/21 12:00
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 「サイバー攻撃受けた」5割。衝撃的な見出しの記事が1月4日の日本経済新聞の朝刊に載っていた。日経の調査によると、大手企業の5割強が企業の情報システムを狙って情報を盗み出したり、サイトの機能を妨げたりするサイバー攻撃を過去5年間に受けていたという。そんなに多いとは思いもよらなかった。

スプラウトはハッカーを利用してセキュリティー上の脆弱性を見つける
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スプラウトはハッカーを利用してセキュリティー上の脆弱性を見つける

 昨年6月、外部からの不正アクセスにより日本年金機構から個人情報が漏洩した事件は記憶に新しい。ボクもコンピューターを毎日使う身。ウィルス対策ソフトも入れているし重要な書類はクラウド上に預けているので安心だと思っていたが、そうでもないらしい。

 サイバー攻撃からいかに情報を守るか。ボクが注目したのは、セキュリティー企業のスプラウト(東京・渋谷)が昨年末に始めた様々な企業と世界中のハッカーたちを結ぶクラウドソーシング事業「THE ZERO/ONE―Bug Bounty」だ。

 あれ、ちょっと何かが変である。ハッカーと企業を結ぶ? それって、銀行に泥棒を紹介するようなものではないか。だが同社の話を聞いて、ハッカーは必ずしも悪意のある人たちだけではないということが分かった。

 この事業はウェブサイトやアプリケーションなどにシステム上の脆弱性がないか知りたい企業と、「善意」のハッカーをマッチングする仕組み。つまり、自社のネットサービスを味方になってくれる“ハッカーさん”にチェックしてもらおうというわけだ。もし問題が見つかった場合、企業が指定した報奨金がハッカーに支払われる。

 そう、「毒を持って毒を制す」のネット版である。ポイントは善意のハッカーという点にある。スプラウトの武内開作社長によると、報奨金制度に参加するハッカーの多くは高度なスキルを持つコンピューターエンジニアやセキュリティーの研究者たちだ。武内社長は「誤解を恐れずに言えば、中には若い頃にいたずらでハッキングをした過去を持つ人もいるかもしれないが、一般にイメージされるような犯罪者的な恐いハッカーとは異なる」と説明する。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身、46歳。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身、46歳。

 かつて、こんな映画があった。2002年公開のスピルバーグ監督の映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」。俳優のレオナルド・ディカプリオさんがふんする詐欺師が逮捕され、最終的に米連邦捜査局(FBI)に雇われ、様々な詐欺事件の捜査に協力するという物語だ。犯罪者と思われていたハッカーが、今度はその技術とテクニックを駆使して企業のために働き報酬をもらう。スプラウトの事業はまるでこの映画のような話だ。

 既にハッカーの力を借りている企業もある。無料対話アプリのLINE(東京・渋谷)は昨年、脆弱性報告への報奨金プログラムを実施した。スプラウトに勤めるエンジニアも、これに参加して報酬をもらったという。

 スプラウトによると報奨金は数十万円から数百万円と幅広い。これを高いとみるか、安いとみるかは企業次第。ベネッセホールディングスは個人情報の流出で260億円の特別損失を出した。それに比べれば決して高くはないともいえよう。

 セキュリティーの世界は常に攻撃者とテクノロジーとのいたちごっこだ。裏側を知っているハッカーを味方につけるのもこれからの時代、必要かもしれない。

[日経MJ2016年1月18日付]


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