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ケアプラン、自作のススメ 家族でニーズ見極める

家事や入浴援助… 在宅介護サービス、最適に

 介護が必要になっても、できる限り住み慣れた自宅で生活したい。あるいは介護保険施設に入所したくても定員が埋まっていて入れない。こうした人は介護保険の在宅サービスを利用することになるが、実際にどんなサービスを受けるのか、メニュー作りは専門家任せになることが多い。自分や家族で計画を立てれば、より適したサービスを受けられる場合がある。ケアプランと呼ぶ介護計画表の作り方を調べてみた。
ワークショップでケアプランを自作してみる

「どんなふうに暮らしたいですか? そのために支障になることは?」。昨年11月、ケアプランの自己作成を支援する非営利組織、全国マイケアプラン・ネットワークが都内でワークショップを開いた。5つの疑似的な家族を想定し、年老いた母親にどのような支援や介護が必要になるかゲーム形式で話し合っていた。

あるグループでは「料理が生きがい」という母親の介護計画を考えていた。「知らない人はできるだけ家に入れたくない」という意向もあり、ヘルパーらのサービスは最小限に絞り家族のケアを中心にした。別のグループでは「年末に旅行に行きたい」という母親の希望を実現するため脚力を鍛えるプランをつくった。

99%以上が委託

介護保険の在宅サービスを受けるには、トイレや着替え、口腔(こうくう)ケアといったヘルパーサービス、体調管理などの訪問介護、デイサービス(通所介護)などのメニューをいつ、どの事業者から受けるのかを盛り込んだケアプランを作り、市区町村に提出する必要がある。

専門家であるケアマネジャーに作成を頼めば、市区町村や介護事業所との連絡や介護給付費の計算までやってくれる。今はケアプランの99%以上をケアマネが作っているのが実態だ。

ケアマネは介護を受ける本人の意向や家族の事情を踏まえ、最適なプランを作るのが役割。だが1人で数十人の担当を抱え、常に行き届いたプランを立てられるとは限らない。所属する介護事業所のサービスを提供するために過剰なプランを作る例もある。本人の意向がうまく伝わらず、本人ができることまでヘルパー任せになる恐れもある。

プランを自分で作ると手間と時間はかかる。それでも同ネットワークの島村八重子代表は「何が必要か最も知るのは本人や家族で、最適なプランを作れる」とメリットを強調する。

書類を毎月提出

ではどんな手順で作成すれば良いのか。プランを自分や家族で作ると決めたら、まず市区町村の介護保険担当窓口で本人か家族がその旨を伝え、介護保険の説明資料や必要な提出書類をもらおう。「自己作成は大変」などと委託するよう促す自治体もあるが、希望すれば自治体は拒めない。

書類を入手したら、次はサービス内容と事業者を決める。本人や家族の支えで何ができるのかを洗い出した上で、何曜日の何時にヘルパーに何を頼むのか、デイサービスはいつ受けるのかといった計画を詰める。内容を決めたらサービスごとに事業者と契約する。

できたプランは市区町村に提出するが、毎月2つの書類が必要だ。1つはスケジュールを記した「サービス利用票」。これにはサービスの内容や利用する時間帯、事業者名を書く。

2つ目は自己負担額や介護給付費を記した「サービス利用票別表」だ。介護保険はサービスごとに介護報酬が決められており、利用計画に応じた金額を月単位ではじく。

報酬は1単位10円が原則だが、地域やサービスごとに物価や人件費を反映させた増減がある。例えば東京23区内で20分以上30分未満の身体介護を受けると、サービスの単位数245に11.4円を掛け合わせた2793円が1回あたり介護報酬になる。自己負担はこの1割で279円。差額の2514円が給付費になる。

自己作成には注意点もある。在宅介護はあくまでも自立支援が目的。空き時間をサービスで埋め尽くしたりしないよう気をつけよう。「事業者との連絡調整を密にすることや、サービスが翌月も同じで良いのかを常に検討することも欠かせない」(島村代表)

◇            ◇

作成委託 有料化も

ケアプランの作成をケアマネジャーに委託しても介護を受ける本人の費用はかからないが、厚生労働省は給付費の膨張を抑えるため、一部を自己負担にすることを検討している。実現すれば、費用面でもプランを自分で作成するメリットが生じる。

高齢化で介護が必要な人は年々増え、要支援・要介護の認定を受けた人は昨年3月末時点で606万人に達した。国民のほぼ20人に1人にあたる。

要介護認定を受けるとトイレや食事の支援のほか、掃除、洗濯など身の回りの在宅サービスを受けられる。本人負担は介護報酬の原則1割。本人負担分を除いた介護給付費のうち5割は国と都道府県・市町村が税金から支出。残り5割は40歳以上が払う保険料で財源まかなう。

介護給付費は年間に約10兆円かかっているが、25年度には約20兆円まで膨らむと国は予測している。

(奥田宏二)

[日本経済新聞夕刊2016年1月14日付]

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