グローバル化の大波に乗り成長を

2016/1/3 3:30
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この30年間で世界の経済規模は約6倍、貿易量は約10倍に膨らんだ。製品やサービスの国際競争は激しくなっている。2016年の世界経済の先行きには不透明感が漂う。それでも、モノやサービス、情報、お金、人が、国境や地域を越えて行き交う経済のグローバル化の流れは止まらない。

日本の企業や個人はその影におびえて内向きになるのではなく、グローバル化の大きな波に乗り、成長への好機とするときだ。

相手国の目線に立つ

製造業からサービス業へ、大企業から中堅・中小企業へと、日本企業による海外ビジネスの展開には広がりがみられる。外国企業のM&A(合併・買収)も活発だ。

こうした「攻め」の姿勢は続ける必要があるが、なお不十分だ。たとえば、日本が「輸出立国」だという認識にはやや誤解がある。輸出の国内総生産(GDP)に占める割合をみると、先進7カ国(G7)で米国の次に低い。

日本企業は研究開発にさらに磨きをかけ、国内のマザー工場で生産した付加価値の高い製品をもっと輸出できる余地があるはずだ。

技術と品質で他に先んじる。日本企業はこれを放棄してはならない。ただし、良いものを作れば売れるといった思い込みが、国際標準とかけ離れた「ガラパゴス化」を生む。大切なのは相手国の目線に立ち、その人々が求める商品やサービスを生み出す構想力だ。

英国の原子力発電所の建設を中国企業が受注した。三菱航空機が半世紀ぶりに開発する国産旅客機「MRJ」のライバルは、ブラジルやカナダの企業だ。

輸出先とみてきた新興国の企業が育ち、競合相手として立ちはだかる。日本企業が技術や品質面で強みを発揮するには、市場攻略の方法から見直す必要がある。

インフラ輸出を例に考えてみたい。鉄道や道路、発電所などの整備は新興国の成長に不可欠だ。膨大な需要をめぐる争奪戦が、国家を巻き込み世界で熱を帯びる。

日本製の機器は中国勢などに比べ高品質だが割高だ。商談で苦戦することも多い。ただ、故障が少なければ、導入時は高くても運転や保守を含む全体のコストでみれば割安になる。

相手国に長期的な視野で評価してもらうには、計画段階からの関与が必要だ。鉄道車両や水処理プラントなどの機器や設備の競争力だけでなく、運転や保守にあたる事業者がグローバル競争に挑む力をつけることも重要だ。

日本、インド両政府はデリーとムンバイを結ぶ貨物専用鉄道を円借款で建設し、沿線に発電所や工業団地を整備して日本企業の進出を促す事業を進める。複合的な広域開発は波及効果も大きい。こうした官民連携をうまく広げたい。

環太平洋経済連携協定(TPP)も飛躍の足がかりにしたい。発効すれば世界経済の約4割という巨大な自由貿易圏が生まれる。工業製品や農産品の輸出だけではなく、サービス分野を含め、日本企業は新市場を掘り起こすべきだ。

投資・人材を呼び込め

日本政府にはTPPを起点に重層的な経済外交を期待したい。

日本はタイやインドネシア、フィリピンなどがTPPに参加できるように側面支援をすべきだ。特にタイには日本の自動車各社の工場が集まる。TPPに参加すれば日本企業がサプライチェーン(供給網)を進化させやすくなる。

気になるのは日本企業の海外投資と比べ、外国企業が日本国内に投資する動きが見劣りしていることだ。国連貿易開発会議(UNCTAD)によれば、14年の日本の対内直接投資残高のGDPに対する比率は4%弱で、先進7カ国の中ではもちろん北朝鮮より低い。

ひとまず16年度の法人実効税率は20%台に下がる。さらに国家戦略特区を舞台にした規制改革を急ぐべきだ。日本の立地競争力を高め、外国企業を日本に呼び込む努力を怠ってはならない。

人材面からのグローバル化への対応も急務だ。人口が減る日本では人手不足が広がる。外国人材を貴重な戦力と位置づけ、これまで以上に積極的に受け入れる時期に来ているのではないか。

安易に単純労働者を受け入れるという発想ではない。日本に必要な外国人材を定義し直し、しっかり準備して計画的に受け入れていけば、日本経済の活性化に役立つだろう。

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