2019年1月23日(水)

LINEがニュース配信 若者ひきつける糸口
藤村 厚夫(スマートニュース執行役員)

2015/12/31 6:30
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今月1日、無料対話アプリLINEが公式アカウントにニュース配信各社24社を加えて話題になっている。「LINEアカウントメディア プラットフォーム」と呼ぶこの試みは、朝日、毎日新聞など大手日刊紙に始まり、スポーツ各紙やエンタメ、テクノロジー分野まで及ぶ。ユーザーがこれらのメディアを選択すれば、各メディアから日に数本のニュース記事が「トーク」に届く。

米スナップチャットはLINE同様、ニュース配信各社が十数枠並ぶ「ディスカバー」で話題に

米スナップチャットはLINE同様、ニュース配信各社が十数枠並ぶ「ディスカバー」で話題に

LINEはこれまでも芸能人や企業、キャラクターらによる公式アカウントを提供してきた。LINEを使って友だちと会話する人にとり、ニュースも「会話」する(実際には、記事を読むだけだが)対象に加わったわけだ。以前にも「LINE NEWS」という別のアプリを提供してきたが、伸び悩んでいたという。

結局、最も多用するLINE本体にニュース配信も統合する方向に戦略を転換したとの見方もある。ニュース各社にとっても、国内に約6000万人の登録ユーザーを有し、若者の利用が多いLINE本体に配信できるメリットが大きい。

ここで注目したいのは、スマートフォン(スマホ)を肌身離さず活用する若者を中心とする層をニュース記事の読者へと引き寄せるには、ニュース閲覧を友だちとの会話の中に埋没させるのが早道と考えたことだ。もう1つ、ニュース各社が注目するポイントは「プッシュ通知」だ。

LINEには友だちからメッセージが届けば、ユーザーに通知する機能がある。ニュース記事においても新着ごとに通知が届く。数多く届けば「騒音」になりかねないが、スマホでニュースを読ませる仕掛けとして有望視されている手法だ。

米国では、1980年~2000年頃に生まれたミレニアル世代の間で支持を集める写真共有アプリ「スナップチャット」が今年初めからニュース配信を始めて話題になった。友人らに向けて投稿した写真や動画が、10秒などと設定した時間内で消滅してしまう機能を特徴としたアプリだ。1日に1億人ものアクティブユーザーを擁しており、若者たちの利用頻度も高いという。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

そこに17枠に限定したメディアからニュースが配信される効果は大きい。これまた、もともと「ニュース」を主目的としない、若者同士の交流(会話)にニュース配信を持ち込んだ例といえる。

LINEもスナップチャットも、ニュース記事自体はメディア自身が独自に取材、執筆し公開しているものを再利用する。今後はスマホ向けに編集を加工したり動画を交えたりと、若者らにアピールする表現手法の巧拙が、取り組みの成否に影響を与えていくだろう。

スナップチャットは配信効果が大きい一方、メディアとの関係は厳しい。効果の低いメディアは退出し、新たなメディアが参加することになる。経験を重ねながら報道のスタイル自体も変化していく予感がある。

ところで、LINEは「りんな」という女子高生を模した擬人的なアカウントも出現している。人工知能を使って人間的な会話をしながら、ユーザーごとに様々な情報を届ける。「会話」は報道が進むべき新たな道となる可能性がある。

[日経MJ2015年12月28日付]

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