2019年2月16日(土)

「夫婦別姓」の議論に終止符を打つな

2015/12/17 3:30
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夫婦別姓を認めない民法の規定は、憲法に反しない。最高裁大法廷がそんな判断を下した。だが15人中、女性3人を含む5人の裁判官が「違憲」判断を示しており、決して一枚岩の結論ではない。

法制度がどうあるべきかは本来、裁判ではなく、国会で議論すべき課題だ。判決は一つの大きな節目ではあるが、終着点ではない。夫婦別姓の問題をどう考えるのか、議論を深めたい。

焦点となったのは、民法750条の「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」という規定だ。

最高裁判決は、夫婦同姓について「我が国の社会に定着してきたもので、家族の呼称を1つに定めることには合理性がある」などと指摘。姓を変えた女性が「アイデンティティーの喪失感などの不利益を受ける場合が多いことが推認できる」としたものの、「不利益は通称使用が広まることで一定程度は緩和される」などと述べた。

ただ、この指摘には疑問が残る。例えば、女性の社会進出は急速に進んでいるが、通称と戸籍名の使い分けで苦労している女性は少なくない。通称使用を認めていない職場もある。

結婚の際に姓を変えているのは、ほとんどが女性だ。違憲とした裁判官からは「通称使用で不都合が一定程度緩和されているからといって、別姓を全く認めないことに合理性は認められない」などの意見が出た。

女性が姓を変える背景には、社会的、経済的な立場の弱さや事実上の圧力などがあるという。女性が置かれた現状への目配りが利いた指摘であり、説得力がある。制度と現状のはざまで悩む人をそのままにしていいのだろうか。

どのような制度が必要かは、時代によって変わっていく。最高裁はこの日、女性の再婚禁止期間を6カ月とする規定について、「100日を超える期間は違憲」とする初判断を示した。社会の変化に伴い違憲になったという。

法務省の法制審議会は1996年、この規定の見直しや、選択的夫婦別姓制度の導入を答申していた。大事なのは、違憲判決が出るまで待つのではなく、制度を不断に見直していくことだ。

最高裁判決は姓を巡る制度について「国会で論ぜられ判断されるべき事柄だ」と述べた。選択的夫婦別姓に「合理性がないと断ずるものではない」ともしている。議論に終止符を打ってはならない。

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