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起業の裾野を広げる工夫がもっと要る

少子高齢化が進み、経済の活性化が課題の日本にとって、ベンチャー企業を次々生み出すことは重要だ。産業の競争力を高めるためにも、起業の裾野を広げる工夫を怠れない。

ベンチャー投資動向などに関する年次報告「ベンチャー白書」がまとまった。日本のベンチャーキャピタルによる2014年度の国内投資は、前年度比3.1%増の740億円だった。2年連続で増えたが、米欧に比べ依然少ない。

投資額の5割近くはIT(情報技術)関連ベンチャー向けが占めた。確かにIT市場は有望だが、日本はゲームソフトなどに偏りがちとの見方もある。医療や環境、金融など革新が必要な分野はほかにもある。広い視野でベンチャーを増やす努力が要る。

創業直後で研究開発に追われるような若いベンチャーへの投資が全体の2割弱と前年度より減ったのも気になる。成功するかどうか見通しにくい時期だからこそリスクマネーで支え、新しい産業のタネをまく姿勢が求められる。

従来型のベンチャー投資以外にも、企業を生み育てる手立てはある。まず大企業とベンチャーの協業だ。人材や販路の確保に悩むベンチャーは多い。経営資源は豊富ながら、新規事業のアイデアが足りない大企業がベンチャーと手を組めば、相互補完できる。

米国ではベンチャーを買収する例が年間500件前後ある。技術の獲得などをねらって大企業が買い手となる動きも活発だ。こうした資金の流れが新たな起業を促す循環があり、日本にもほしい。

新たな商品やサービスのアイデアをサイトに掲げ、賛同者から必要な資金をネットで募るクラウドファンディングも効果がある。資金調達だけでなく、商品などの需要がどの程度あるのか見極め、事業計画を見直すのにも役立つ。

この仕組みでデジタル機器の製造販売などを始めるベンチャーが増えている。起業のハードルを下げる手法として使いこなしたい。

米欧だけでなく、アジアでも起業熱は高い。日本政府はベンチャー集積地の米シリコンバレーに起業家を派遣する研修制度などを打ち出したが、起業家自身の努力が伴わなければ効果は薄い。

失敗しても再び起業に挑戦できる社会を実現し、多様な能力、発想を伸ばす教育を推進する。国全体で長期の課題に取り組むことが大切なのは言うまでもない。

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