ポップアップカードでサプライズ 飛び出す遊び心

手作り仕掛け、表現自在

ポインセチアの葉がパッと開いたり、もみの木が枝を広げるように立ち上がったり。ポップアップとは、開くと絵が立体的に立ち上がる構造のことだ。作り方は、1枚の紙から切り出す方法と、2枚以上の紙を貼り合わせる方法がある。
「初心者が作りやすいのは貼り合わせる作品」と話すのは、「かんたん 楽しい 手づくりカードBOOK」(日本ヴォーグ社)の著者、やまもとえみこさん。カード中心部に、立体的な「仕掛け台」を置き、その1つの面に飛び出させたい絵を貼る。カードを立てると、背景から絵が前に出る仕組みだ。
下の表を見ながらサルが温泉につかるカードを作ってみよう。まずは仕掛け台作り。1×5センチの長方形の紙を、端から「長、短、長、短」と4分割して折り線をつけ、山折りする。横から見ると長方形の空洞がある立体になる。絵をうまく立ち上がらせるには、仕掛け台の上下、左右の辺の長さを正確にそろえる。
カード本体にはケント紙など厚めの画用紙を選ぶ。2つに画用紙を折り、上側に岩の形に切った濃い青や灰色の紙、下に湯を表現する青い紙を貼る。折り目の所に、先ほど作った仕掛け台を貼り、正面にサルの絵を貼る。サルの絵の大きさは、カードを閉じた時にはみ出ないように。

慣れたら凝った仕掛けに挑戦したい。箱形の立体物がポンと現れる高度な物でも「カードの折り目を軸に、左右対称に作るのが全ての基本」とやまもとさん。
仕掛け台を三角形の立体に変えるだけでも、飛び出し方を変えられる。長方形の紙を端から「短、長、長、短」と4分割して折り線をつける。両端の面を、カードの折り目に向き合わせて接着。水平に開くと三角屋根のように立ち上がる。富士山の絵を両面に貼れば、正月らしい作品になる。
きれいに仕上げるには、定規と鉄筆で折り目のスジを引く。鉄筆はインクがきれたボールペンでも代用可能だ。絵が苦手なら「写真の切り抜きでも構わない」(やまもとさん)。小さな絵はピンセットで貼る。背景には手書きやハンコでメッセージを。マスキングテープやリボン、千代紙で飾ると華やかだ。
複雑な形、切り方注意
ポップアップは、19世紀半ば、英国で絵本として商品化されたのが始まりとされる。カラー印刷技術の発達とともに複雑な仕掛けが生まれ、1970年代以降はポップアップカードが広まった。

池袋コミュニティ・カレッジ(東京・豊島)で「立体グリーティングカード」教室を開く中沢圭子さんは、1枚の白い紙を使って精巧な立体カードを作ってきた。主なテーマは世界遺産の建築物。形が複雑なほど、切り方に注意が必要だ。「曲線を切る時は、手ではなく紙の方を動かすこと」と中沢さんは教える。
カードの折り目に対して垂直になるよう2本の平行線を切り込み、平行線の間の部分をカードの内側に折り込めば、しかけ台と同様の四角形が浮き出る。不要な紙で練習しよう。
びっくり箱のような楽しさが味わえるポップアップカード。年に1度の挨拶に、遊び心と一緒に大切な人へ贈ると喜ばれる。
(柳下朋子)
[日経プラスワン2015年12月12日付]
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