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北京の空が問う中国の環境対策の実効性

中国の首都・北京が深刻な大気汚染に見舞われている。7日には北京市当局が、最悪レベルの汚染だと市民に警告する「赤色警報」を、初めて出した。

第11次と第12次の5カ年計画に続き、2016年からの第13次5カ年計画でも環境対策を重視する姿勢を、共産党政権は打ち出している。昼なお暗い北京市街の姿が問うのは、対策をかけ声だおれに終わらせないような実行力と実効性があるかどうか、だろう。

北京市当局の観測によれば、健康への悪影響が特に懸念される微小粒子状物質「PM2.5」の濃度は11月下旬から今月はじめにかけ、1立方メートルあたり600マイクログラムを超える日があった。

これは世界保健機関(WHO)の基準を20倍以上も上回る。国際的にみて緩い中国の基準でも8倍超だ。北京だけではない。黒竜江省ハルビンでは11月、PM2.5の濃度が1立方メートルあたり1400マイクログラムを超えた日さえあった。

全土を見わたせば、水質や土壌などが危機的なところも少なくない。経済の高成長の裏側で環境が著しく悪化したことは共産党政権も認めており、11次と12次の5カ年計画ではかなり厳格な目標を掲げて対策に取り組んできた。

その結果、たとえば硫黄酸化物の排出量は近年、減っているとされる。ただ、北京の大気汚染のように目に見えて悪化しているところもある。共産党政権は次の5カ年計画で、環境対策の成果を出すことに注力する必要がある。

一つのカギは官僚たちの意識改革だ。民主的でない体制では、実権を握る官僚たちが環境への感度を高めないと改善は難しい。反腐敗運動で彼らを震え上がらせている習近平国家主席の、真価が問われる問題といえる。

もう一つは情報の自由な流通だろう。国民の声やメディアの報道を統制したままだと官僚たちは都合の悪い情報を隠蔽しがちだ。

第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)にあわせ、中国は30年に向けた温暖化ガス排出量の新たな削減目標を打ち出した。世界最大の排出国となった中国の環境対策は地球環境の行方を左右する。試金石として次の5カ年計画を注視していきたい。

中国の環境問題は日本にとってもひとごとではない。地球的なレベルでも地域のレベルでも、日中が環境問題で協力することは意味のある国際貢献ともなろう。

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