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キリンビバ、自販機オンライン化 作業効率化、データ販促活用

飲料大手のキリンビバレッジは自動販売機のオンライン化を進める。自販機に設置した専用の通信機器で在庫状況などをタイムリーに把握。収集したデータを商品補充の効率化や、売れ筋商品の機動的な入れ替えといったマーケティング施策に活用する。自販機ビジネスは効率運用を競う局面に突入している。同社は来夏をめどに全国の約11万台に導入する計画だ。

横浜市内にあるキリンビバの倉庫。自販機への商品の補充にあたる従業員が手元の売り上げ集計表を見ながら、必要な商品をトラックに積み込む。自販機の設置場所を効率的に回るルートも出発前に決まる。

これまで従業員はトラックに商品を大まかに積み込んで自販機の設置場所を回っていた。到着後、まずは自販機から売り上げデータを取り込み、いったんトラックに戻って補充する商品を持ち出さなければならなかった。

キリンビバは2014年夏から、自販機1台ごとに専用の通信機器の設置を開始。これにより1台ごとの売り上げデータが即座に把握できるようになった。1台あたり約20分かかっていた作業時間が、半分程度に短縮したという。

補充に回るトラックの配送ルートも1台ごとの在庫状況に応じて指示できるようになった。せっかく回っても在庫が多く残っていて補充する必要がないといった無駄が省ける。

一方で、在庫切れ寸前まで補充しなければ、売り切れが発生して販売機会を損ないかねない。キリンビバ傘下で自販機事業を担うキリンビバレッジバリューベンダーの横溝宗親社長は「補充のタイミングなどの基準を運用しながら(機会ロスが生じないよう)改善していく」と話す。

収集したデータは補充作業の効率化にとどまらず、マーケティング施策にも生かす。売り上げデータは場所や日次ごとにも把握でき、売れ行きが良い商品の取り扱いをすぐに増やせる。以前はデータ収集に時間がかかり、商品の切り替えに1カ月以上かかっていたが、オンライン化により2週間ほどに短縮できるようになった。

データ収集が迅速化したことで、発売した新商品の当初の売れ行きを確認して品ぞろえを機動的に変更。ホット飲料への切り替えタイミングなどにも活用している。

自販機は地域や立地の特性に応じて売れ筋が異なる。例えば、京都などの観光地では同社の炭酸飲料「力水」が訪日外国人らの人気を集めている。全国に点在する自販機は街のビッグデータの宝庫だ。高い販売効率が見込める品ぞろえにするために、データを役立てていく。

国内の清涼飲料の自販機の台数は約220万台で、ここ数年は横ばいが続く。自販機は店頭販売より利益が見込めるが、頭打ち傾向が強まっている。コンビニエンスストアの台頭などで販路も多様化するなか、飲料各社は自販機1台あたりの販売効率を競う方向に戦略を転換しつつある。

サントリー食品インターナショナルや伊藤園なども自販機の在庫を把握する取り組みを進めるほか、日本コカ・コーラグループは消費電力を抑えた新型機の導入を加速している。いずれも効率運営や付加価値を付けるための取り組みだ。

キリンビバの横溝社長は「IT(情報技術)と組み合わせて自販機の魅力を高めていく」と話す。集めたデータをもとに商品を機動的に入れ替えたり、新商品を開発したりするなど、自販機をマーケティングマシンとしてどう生かしていけるかが課題となる。(名古屋和希)

[日経MJ2015年12月9日付]

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