2019年8月21日(水)

音楽ベンチャーが集結、米西海岸で技術サミット
フィル・キーズ(米ブルーフィールドストラテジーズ アナリスト)

2015/12/11 12:00
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サンフランシスコでは「SF MusicTech Summit」という音楽と技術の出会いを目的としたイベントが毎年開催される。2015年のイベントで目を引いた例として、バスケットボールより小さいのに、驚くほどよく音声を発生する無線スピーカーがあった。このスピーカーを出展していたのはフランスのDevialet社だった。

スマホやタブレットが楽器になるアプリ「Geo Shred」(公式デモ動画より。スライドギターを演奏している様子)

スマホやタブレットが楽器になるアプリ「Geo Shred」(公式デモ動画より。スライドギターを演奏している様子)

ロックバンドでキーボードを演奏していたJordan Rudess氏はWizdom Music社を米国で設立した。彼はスタンフォード大学の研究者などと協力して「Geo Shred」というスマートフォン・タブレット端末向けのアプリを開発し、イベントで見せてくれた。このアプリをインストールすれば、実際の楽器を再現する技術を使って、スマホで音楽を奏でることができる。

イベントは活況だったが、音楽業界の売上高は減少し続けている。国際レコード産業連盟(IFPI)によると、1999年の全世界の音楽業界の売上高は266億ドルだった。それが14年には149.7億ドルに落ち込んだ。インターネットによる音楽配信はCDのような物理的なメディアの売り上げ減少をカバーできていない。音楽業界では新しい収入源を探る動きが続いている。

音楽ファンに楽曲をリミックス(再編集)することを許可して、それによって収入を得ようとするアイデアもあった。それを新しくしようとしているのが米国の8Stem社だ。

同社は一般の人でも比較的に簡単に楽曲をリミックスできるアプリを開発している。詳細は公開されていないが、利用者がアプリでリミックスした楽曲をソーシャル・メディア・ネットワーク(SNS)で共有できるようにしたときに、楽曲の著作権者に収益が及ぶようにするという考えのようだ。

米国のDubset Media Holdings社は別のアプローチを探っている。いくつかの楽曲の要素を組み合わせて新しい楽曲を生み出す「マッシュアップ」という手法がある。これは音楽業界を悩ませていた。マッシュアップにどの楽曲が使われたのかを把握しにくかったため、著作権料(ロイヤルティー)を請求することが難しかったのだ。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

同社はマッシュアップされた楽曲を分析する技術を持っている。どの楽曲がマッシュアップに使われているのかを明らかにするだけでなく、どのタイミングでどれだけ使われているのかもわかる。マッシュアップを配信したサービス事業者が誰にどれだけのロイヤルティーを支払うべきなのかが明確になる。

この技術は、定額料金を払えば音楽が聞き放題になるストリーミングサービスが広がると重要性を増してくる。マッシュアップされた楽曲がどれだけ聴かれたのかによって、発生するロイヤルティーの額が変わってくるからだ。

同社はロイヤルティーを支払うためのプラットフォームも用意している。仮想通貨の技術を使い、ロイヤルティーを明確に早くしかも低コストで著作権者に届けられるという。マッシュアップで楽曲を作りたいと考えている人たちも権利侵害をせずに正当なビジネスをしやすくなる。同社はマッシュアップのオンラインラジオを開始した。最高経営責任者(CEO)のStephen White氏は「日本は米国に次ぐ市場」と語っている。音楽だけでなく、動画でもマッシュアップは行われている。同社が音楽で成功するなら、動画でも同様のことが起きるだろう。

[日経産業新聞2015年12月8日付]

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