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おごりが生んだ血液製剤不正

血液製剤やワクチンの有力メーカー、化学及血清療法研究所(熊本市)が40年以上も前から国の承認を得ていない方法で製品を製造していたうえ、その事実を組織ぐるみで隠し続けてきたことが明らかになった。

化血研は薬害エイズ訴訟の被告企業のひとつであり、1996年の原告との和解時に「医薬品による悲惨な事故を再び発生させないよう最大の努力をする」と約束していた。にもかかわらず、裏では不正を続けていた。元原告らが「裏切りだ」と憤るのは当然だ。

血液製剤はヒトの血液を原料につくられる医薬品で、外科手術のほか、血友病や感染症の治療などに広く使用されている。化血研は製造効率をあげる目的で、血液を固まりにくくする成分を工程の途中で加えるなどしていた。

不正が原因とみられる副作用報告は今のところない。また厚生労働省は健康に重大な影響が出る可能性は低いとみている。

しかし未承認の製造法変更は、国民の健康を支える医薬品の製造業者としてあるまじき行為だ。

化血研は旧熊本医科大学の研究所が母体となった一般財団法人の薬品メーカーだ。血液の有用たんぱく質を精製した血漿(けっしょう)分画製剤の先駆者でもある。

不正を調査した第三者委員会は「研究所としての性格を色濃く持ち製造工程にも研究者としての気質が反映されていた」と指摘する。そうした風土が、ごまかしてもわからないし安全だろうなどという意識を生んだのなら「研究者のおごり」というほかはない。

歴代の経営陣は不正を知りながら見て見ぬふりをし、隠蔽工作に関わった。紙に紫外線をあてて変色させ古く見せ、査察時に示す偽造書類は取り違えないように字体を変えるなど、手口が入念で悪質だ。前任者の違法行為に縛られ自らも不正を重ねる悪循環に陥っていた。厳格な処分が妥当だ。

信頼回復には閉鎖的な風土を改め組織全体に再発防止策を徹底していくしか道はない。

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