急成長ミャンマー 物流開拓のカギは河川にあり
船舶輸送のSAマリン

2015/11/28 3:30
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船舶輸送のSAマリン(広島県福山市)はミャンマーで河川物流事業に進出する。経済発展に伴い物流の需要は急増している。陸運はインフラ整備の遅れや輸送量の制約を抱えているため、河川物流に注目が集まっている。専門の河川航行用運搬船(バージ)を建造。年明けにも運航を始める。川のつながりを生かし中国展開も視野に入れる。

経済発展著しいミャンマーで河川物流に進出(ヤンゴン市内、建造したバージ船)

経済発展著しいミャンマーで河川物流に進出(ヤンゴン市内、建造したバージ船)

「河川から物流を開拓する」(宮本武司専務)。ミャンマーではガタガタな道路で荷物を運ぶ陸路が主流。海路は木造船を使った交通手段で、物流は利用客が運ぶ物資・食物が多かった。決して効率が高い輸送手段ではなかった。

今春、国際協力機構(JICA)とミャンマー河川物流の普及に向けた契約を結んだ。対象は最大都市ヤンゴン、マンダレーなど主要都市をつなぐエーヤワディー川(旧イラワジ川)。「陸運に比べれば、河川輸送でのメリットは歴然としていた」(宮本専務)

問題は山積していた。一つが水位。上流、中流域の水位差は季節によって約10メートルに達する。特に乾期は深さが数メートル程度にまで干上がる。

小さな船なら意味がない。大きすぎたら使えない。最適な船舶を造り出すため試行錯誤を繰り返した。船舶は地元企業がJICAの資金をもとに建造。全長60メートル、幅15メートル、専用クレーン1基を備えたバージ船が10月に完成した。甲板の広さから航空母艦を思わせる風貌だ。20フィートの規制コンテナ80個を積載できる。

就航は2016年1月。運営は現地の国営企業が手掛け、SAマリンは保守管理などを担当する。現地で建設が進む発電所・プラントの機材輸送も可能だ。ミャンマーでは初の大型バージ船となる。

宮本専務はこの半年でミャンマーに25回足を運んだ。赤丸で埋め尽くされた畳2畳ほどの大きな地図は現地開拓に向けた布石を意味する。8月にミャンマーに海運・輸送のコンサルタント会社を設立した。船舶運営は現地企業が主導しているが、将来的には自社運営を見据えている。

ミャンマーには同業他社が10社進出したが、最終的にSAマリンが残った。「熱意と思い入れが強かった」と宮本専務。両国政府に提出した書類・リポートは数知れない。SAマリンがミャンマーの海上物流に採用されたことは綿密な裏打ち作業の結果とも言える。

経済・文化の発展は河川にある――。経済発展が著しいミャンマーを河川物流で支えることが今回事業の柱だ。エーヤワディー川の上流にあるのは中国。SAマリンは中国企業向けの輸送事業展開を視野に入れた検討を始めている。

(福山支局長 佐々木聖)

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