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農業の「獣害」対策を着実に

シカ、イノシシといった日本の野生動物が急増し、畑などを荒らす農業被害は毎年200億円にのぼる。政府や自治体の対応が後手に回るなか、個人の設置した電気柵に人が触れて感電死する事故も起きた。安全を最優先に、着実に対策を進める必要がある。

環境省の推定では、ニホンジカの生息数は2012年度末で249万頭(北海道を除く)と、過去10年で2倍以上に増えた。1990年代半ばに50万頭以下だったイノシシは、89万頭に増加した。

温暖化で降雪量が減り、餌を食べられる時期と地域が広がった影響が大きいとみられている。農山村の過疎化で人間の活動場所が縮小し、耕作放棄地なども新たなえさ場となっている。鳥獣特措法が成立した2007年以降の対策で捕獲数は増えているが、繁殖の勢いに追い付いていない。

野生動物は守るものという考えにこだわって対応が遅れた面もある。環境省が鳥獣保護法を見直し、増えすぎた動物を適正な水準まで減らす鳥獣保護管理法を施行したのは、ようやく今年5月だ。

環境省の試算では、生息数に対する捕獲率が現状のままだとニホンジカの数は23年度に400万頭強まで増える。農業被害だけでなく、自動車や電車との衝突事故の増加も心配だ。植物を含む生態系全体への影響も考慮して、特定の動物が増えすぎないよう政府や自治体は管理すべきだ。

狩猟免許を持つ人は1970年代の半分以下に減っている。捕獲などの専門家の確保とともに自治体間の協力も重要だ。捕獲を活発にするには、シカやイノシシの肉を流通させ市場価値を持たせる取り組みも有効だろう。

対策では安全が第一なのは言うまでもない。電気柵やわなによる事故を起こさないため、安全規格に適合した製品の使用や設置場所の警告表示を徹底すべきだ。

野生動物の侵入を防ぐ日ごろの心がけも大切だ。出荷できない果実を畑に放置すれば侵入を誘う。きめ細かな対策が要る。

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