「6割ついで買い」 セブンのオムニチャネル戦略

2015/11/14 6:30
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セブン&アイ・ホールディングスが11月1日から本格的に始めた、グループ横断の通販サイト「omni7(オムニセブン)」。今のところ計画を上回る注文数があり、注文者の約8割が受け取りなどでセブンイレブンを訪れる。店頭では専用のタブレット端末を配布し、「究極のご用聞き」サービスも展開。日本のオムニチャネル戦略の成功モデルとなるか。

端末を使ってご用聞きサービスを展開する

端末を使ってご用聞きサービスを展開する

「オムニセブン」ではセブンイレブンやイトーヨーカ堂、そごう・西武、ロフトなど専門店の商品計180万品目を扱い、全国のセブンイレブンで送料無料で受け取りや返品が可能となる。

11月1日のサイト開設から約1週間弱たったが、「オムニセブンで商品を注文してセブンイレブンで受け取る客の約6割が、セブンの店舗で何かしらついで買いをしている」(セブン&アイ)。公共料金などの支払いに、通販で注文した商品を「受け取る」という新たな来店動機が加わり、それが実店舗の売り上げ増にもつながっているという。

プライベートブランド(PB=自主企画)「セブンプレミアム」を箱買いしたり、百貨店のカウンセリング化粧品を購入したりしてセブンイレブンで受け取る人が多いという。同社にとって、こうした消費行動はこれまでは考えられなかった。具体的な数値は非公表だが、「オムニセブン経由の足元の注文数は計画を上回る勢いで伸びている」(同社)。

実店舗の強みをいかすのは「受け取り」だけではない。セブンイレブンの店舗では、オムニセブンで取り扱う商品が注文できる専用のタブレット端末も導入していく。ネットでの買い物に不慣れな高齢者らが、スムーズに買い物できるようにするための接客ツールだ。

まずは11月から九州と東京の一部店舗となる6000店でタブレット端末の導入を完了した。2016年6月までに全店に広げる計画だ。

並行して、タブレット端末を持って高齢者宅などを訪れ、端末で商品を示しながらグループの180万品目を消費者に紹介し注文も受け付ける。セブンイレブンではこれまでも弁当宅配サービス「セブンミール」の商品を届ける際に、買い物が十分にできない高齢者宅などでご用聞きを行ってきた。

タブレット端末を使ったご用聞きでは、「現状はセブンイレブンの商品を注文する人が中心」(セブン&アイ)だ。セブンミールで弁当だけを注文していた人が、コンビニのおにぎりやPB総菜などを一緒に注文するケースも増えている。

タブレット端末で注文された商品はヤマト運輸など物流会社に委ねるのではなく、セブンイレブンの社員やアルバイトが自らが玄関まで届けるのがポイントだ。玄関での会話が、顧客との距離を縮めて新たな需要を引き出すきっかけとなるからだ。

もっとも、グループの商品180万品目を購入する人はまだ少ない。単価が低く、自分が食べたことがあるセブンイレブンの商品に注文がとどまっている。ネットに抵抗感がある消費者に百貨店の商品や衣料品、インテリアなどを安心して買ってもらうようになるには時間がかかりそうだ。

アマゾンが今秋ネットスーパーに本格参入したほか、楽天が楽天市場で購入した商品をローソンの店頭で受け取れるようにするなど、ネット通販大手がリアルの領域を果敢に攻めている。だが鎌田靖常務は「アマゾンや楽天と違い、うちは欲しい商品を提案していく。単なるネット通販ではない」と強調する。(松田直樹)

[日経MJ2015年11月11日付]

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