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一律の診療報酬改定は限界だ

2015/11/5 3:30
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 厚生労働省が医療機関の経営状況を見るために実施した2014年度の医療経済実態調査の結果がまとまった。前年度に比べて病院の経営が悪化する一方、診療所は病院に比べて収支面で余裕がある実態が明らかになった。

 16年度には医療機関の収入源である診療報酬の改定が予定されている。その財源は国民の税金や健康保険料だ。国の苦しい財政状況を踏まえ、この調査結果を参考に医療機関の経営実態に応じた見直しを実施し、全体的には報酬を抑制すべきだ。

 調査結果によると、一般病院の損益率は平均でマイナス3.1%となった。前年度はマイナス1.7%だったので、赤字幅が拡大したことになる。

 診療所はプラス15.5%だった。前年度の16.1%から利益率は少し鈍化しているものの、黒字を維持した。このほか、保険薬局も前年度より下がってはいるが、プラス7.2%だった。チェーン薬局など店舗数の多い薬局ほど利益率が高い傾向もわかった。

 このように医療機関の形態や規模などによって経営状況は大きく異なる。診療報酬はすべての医療機関向けに一律、あるいは大まかな区分けで決まることが多いが、このままでは経営格差がさらに広がりかねない。できる限りきめ細かく報酬を設定し、余裕があるところから厳しいところにお金が回るようにしてもらいたい。

 病院の経営悪化の原因のひとつには、消費税負担の問題もある。医療機関は医療機器などを購入する際に消費税を負担するが、医療は非課税であるため、患者から消費税を受け取れない。消費税分が医療機関の持ち出しとなる。

 国は診療報酬を引き上げて医療機関の損失を防ごうとしたが、このときも広く薄く一律に引き上げる傾向となった。結局、設備投資額が大きな病院ほど、報酬引き上げ分よりも消費税負担の方が大きくなってしまった。この問題の是正も求められる。一律対応には限界があることを肝に銘じたい。

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