米利上げへの備えを怠るな

2015/10/31 3:30
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米国の7~9月期の実質経済成長率は前期比で1.5%(年率換算)にとどまった。ただ個人消費や住宅投資は底堅く、米国の景気拡大は続いている。時期は不透明だが、米国がいずれ利上げに踏み切るのは間違いない。経済が不安定な新興国を中心に米国の政策転換への備えを万全にすべきだ。

7~9月期に米国の成長が減速した背景には設備投資や輸出が伸び悩んだことがある。資源価格の低迷でエネルギー関連企業の投資が引き続き大幅に減ったことや、新興国などの景気減速が響いた。

もっとも、これによって米国の景気が失速に向かうとの見方はほとんどない。雇用環境が緩やかながらも改善しており、消費が腰折れする可能性が低いためだ。

雇用の改善が続けばいよいよ米国の利上げが射程に入ってくる。失業率の低下が賃金や物価にどう影響するかが政策判断のカギを握ることになると見られる。金融市場では12月に予定されている次回の政策決定会合に向け、様々な見方が飛び交うことになるだろう。

しかし、より重要なのは、目先の利上げの有無に一喜一憂することではなく、利上げ後の世界への想像力をはたらかせ、備えをしっかりしておくことだろう。

日欧や中国は金融緩和を進めており、米国が小幅利上げに踏み切っても、世界的に資金が潤沢な状況は大きく変わらないとの見方もある。とはいえ2004年以来となる米国の引き締め方向への政策転換は世界経済や金融市場に不測の事態をもたらす恐れもある。

いちばん気になるのは、すでに資源価格の下落などで打撃を受けている新興国の経済や通貨への影響だ。新興国の政府は資源依存からの転換など経済の構造改革を急がなければならない。ドル建て債務が膨らんでいる新興国企業も財務基盤の強化を進めるべきだ。

緩やかな利上げのもとで米国経済が持続的に成長するなら日本にとって悪いことではないが、新興国経済などを通じた間接的な影響は注視していく必要がある。

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