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人気急上昇の米アパレル 原価や縫製費まで公開

(三浦茜)

米国で人気上昇中のサンフランシスコ発のアパレルブランドがある。ハリウッドセレブも愛用する「Everlane(エバーレーン)」だ。オンラインのみの販売で店舗はない。人気の秘訣は、徹底的にコストをおさえ、高品質なアパレルを安価で提供していることだ。

コスト削減を徹底し価格に透明性をもたせた

面白いのは、その商品表示だ。「劇的な透明性」を売りにしており、材料の原価、輸送費、縫製費、関税をサイトで公開している。たとえば、筆者が購入したトレンチコートの原価は57ドル。店舗では同様の商品を325ドルで販売しているが、エバーレーンでは138ドルで販売。こうした内容が商品ごとに記載されている。実に赤裸々な価格表示である。

創業者のミハエル・プレイスマンさんはベンチャーキャピタルの出身。原価7ドルのシャツが店舗で50ドル以上で売られているアパレル業界の利幅の大きさに驚き、2010年、25歳でこのビジネスを始めた。

エバーレーンは原価7ドルのシャツを15ドルで販売している。有名ブランドと同じ縫製工場で生産しており、ハイブランド並みの品質を維持している。デザインもシンプルで活用しやすい。最近、元GAPのクリエイティブディレクターがメンバーに加わったことも話題となっている。

他にも、販売価格を下げるために様々な工夫を凝らしている。通常、アパレル業界ではシーズンごとにコレクションが出るが、エバーレーンはほぼ毎週新作をリリースしている。そして、大量生産することでコストを抑えるのではなく、少量生産にして在庫管理コストを抑制し、売り切る。筆者も迷っているうちに売り切れた経験が何度かあるので、在庫のあるうちに購入をと思わずクリックしてしまう。

セールは一切しない。販売経路がオンラインのみなので、これまでの顧客の購入傾向やマーケティングデータを活用して店舗よりも在庫予測もしやすいと思われる。

会員数は100万人を超えている。売上高は公式には公開されていないが、昨年時点で3千万ドルを超えていると予想されている。

米国では今、こうした高品質のプロダクトを、中間マージンを削減して安価で提供するスタートアップ企業が人気だ。男性向けアパレルを提供する「BONOBOS(ボノボス)」、ひげそり商品を販売する「Dollar Shave Club(ダラーシェイブクラブ)」など。中でも有名なのが、眼鏡とサングラスをネット販売する「Warby Parker(ワービーパーカー)」だ。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズのマーケティングマネージャー。

従来は数百ドルしたハイセンスな眼鏡を100ドル以下で提供している。コストを抑えるためにデザインはインハウスで手掛ける。またプロモーションにおいても直接顧客に働きかけることができるソーシャルメディア(SNS)を積極的に活用し、フェイスブックやツイッターのみならず、ピンタレストや、タンブラー、ヴァイン、インスタグラムなどでもファンを増やしている。

他のファッションアイテムと同様にオンライン販売での課題は試着ができない点。ワービーパーカーは5アイテムまで無料で自宅配送し、自宅での試着を促している。返送も無料である。オンラインからスタートしたが実店舗も構えており、全米に10店舗展開している。中間マージンを極力削減、そして情報公開。ファッション業界も食品業界のように産地直送化が進むのかもしれない。

(スクラムベンチャーズ・マーケティングマネジャー)=今回からシリコンバレー在住の三浦茜さんの新しい連載が始まります。

〔日経MJ2015年10月23日付〕

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