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春秋

「涙活(るいかつ)」なるものがはやっているそうだ。涙活プロデューサーを名乗る寺井広樹さんによると「能動的に涙を流すことで心のデトックスを図る活動」だという(「泣く技術」)。胸を打つ映画など見て泣きに泣けばストレスも押し流されてスッキリ、というわけである。

▼もっとも、悪い泣き方もある。悔し涙を公の場で見せれば周囲は困惑するばかりだ。こういうのは「ストレスを人に押しつける涙」だという。そういえば記者会見で号泣した県会議員がいたし、STAP細胞の騒ぎではあの人も泣いた。おととい、マンション傾斜の不始末で旭化成の社長が涙ぐんだのもこのたぐいだろう。

▼杭(くい)のデータ改ざんが発覚して1週間、ようやく開いた会見だが「なぜ」はまるで解消されぬままだ。問題がほかの物件に広がっている心配もあるのに、なんともぬるい対応というほかない。「深く、深く反省し」「誠意を持ち」「誠実に」……。こんな言葉を並べられ、ついには泣かれても住民は途方に暮れるだけである。

▼一生の買い物をフイにされ、今後のすみかも定まらず、みんな「泣きたいのはこっちだ」と怒りつつ涙をこらえていよう。いや住民のみならず、日本中が泣きたくなる名門企業グループの体たらくである。かくなるうえは涙、ではなく膿(うみ)をとことん出し切って、組織のデトックスを図ることだ。会見での涙はその暁でいい。

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