2018年2月22日(木)

信頼回復の道遠い東洋ゴム

2015/10/17付
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 不正行為の広がりは目を覆うばかりだ。免震ゴムの性能データを改ざんしていた東洋ゴム工業が、鉄道車両や船舶などの揺れを抑える防振ゴムでも試験結果を偽っていたことが明らかになった。

 関与していた社員や組織の倫理観の欠如に慄然とする。コンプライアンス(法令順守)への感度の鈍さや安全意識の薄さは深刻だ。免震ゴムの不正を受けて始めた教育研修の見直しなど再発防止策も、不備がないか点検してもらいたい。企業風土を抜本的に改革することが急務だ。

 東洋ゴムでは2007年に断熱パネルの耐火性能の偽装が発覚。今年3月には免震ゴムでの不正を公表した。性能偽装は今回の防振ゴムで3度目になる。

 特に問題なのは防振ゴムでも免震ゴムの場合と同様に、品質保証の担当組織の社員がデータ改ざんなどにかかわっていたことだ。

 品質管理に最も目を光らせなければならない部署で品質偽装が起きるという例は、まず聞かない。社員の意識を変えていかない限り不祥事の根は断てないだろう。

 免震ゴム問題では公表が大幅に遅れ、その学習効果に疑問符もつく。今回の防振ゴムの不正は8月後半に発覚したが、国土交通省や経済産業省への報告は9月末、公表は10月半ばになってからだった。迅速に情報開示する姿勢がなくては社会の信頼はなかなか取り戻せまい。

 防振ゴムの不正は免震ゴム問題を受け、ほかの製品に性能偽装がないかをチェックした「緊急品質監査」の完了後に発覚しており、その検査の甘さを露呈する形にもなった。東洋ゴムは改めて品質の点検をやり直す必要があろう。

 東洋ゴムは出荷した防振ゴムの安全性を納入先の企業の協力を得て入念に調査する責任がある。事故が起きれば人命にもかかわる。

 規律が緩み、不正を生んだり見逃したりする企業風土ができてしまうと、元に戻すには相当の労力が要る。相次ぐ不祥事に揺れる東洋ゴムは他企業の反面教師だ。

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