2019年8月22日(木)

新興国は景気減速に構造改革で対処を

2015/10/12付
保存
共有
印刷
その他

中国をはじめとする新興国の経済が減速している。世界経済の先行きを不透明にしているだけに、警戒を怠ってはならない。

国際通貨基金(IMF)によると、2015年の新興国経済の実質成長率は4.0%と、5年連続で前年を下回る見通しだ。ペルーでのIMFや世界銀行の会議でもこの問題に焦点があたった。

起点は中国だ。投資主導の経済構造からの脱却をめざすなか、鉄鉱石、原油などの資源の需要が鈍った。結果として資源輸出国のブラジルや南アフリカ、ロシアなどの景気を強く押し下げた。

原油安や産油国経済の低迷もあり、世界貿易機関(WTO)は15年の世界貿易の伸び率の見通しを2.8%へと下方修正した。

米国の利上げ観測も響いている。新興国に流れていた投資マネーの逆流が始まり、通貨安・株安を招いている。特にトルコやマレーシアなど政治が不安定な国で通貨安が目立つ。

気がかりなのは、日米欧の緩和マネーも背景に、これまでに新興国の企業が外貨建ての借り入れや社債発行を増やしてきたことだ。

ドル高・自国通貨安でこうした企業が資金繰り難に陥ると、経営破綻や銀行の不良債権が増え、金融不安につながりかねないとIMFは警鐘を鳴らす。

アジア通貨危機が起きた1990年代と比べると、多くの新興国は豊富な外貨準備を抱え、為替制度も柔軟になった。

とはいえ、金融のグローバル化で巨額のマネーが瞬時に国境を越えて動くなか、金融不安への備えは不可欠だ。各国は金融機関への監督を強化してほしい。

新興国といっても、国によって状況は大きく異なる。

ブラジルはインフレ、財政・経常赤字に直面し、16年まで2年連続でマイナス成長となりそうだ。まずは金融・財政を引き締めてインフレを抑え、市場の信認回復に全力を挙げるべきだ。

資源輸入国であるインドは原油安を追い風に、燃料補助金を削減するなどの改革を進めている。物価見通しが安定していれば、利下げで経済を下支えできる。

財政に余裕のある国はインフラ投資などで景気をてこ入れできる余地もあるだろう。

いずれ米国は利上げに動く見通しだ。各国は税制、労働市場などの構造改革を強力に進め、耐久力を高めなければならない。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。