2018年8月18日(土)

気を抜けない技術流出対策

2015/10/4付
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 新日鉄住金が韓国鉄鋼大手ポスコを相手取り、高機能鋼板の製造技術を不正取得されたとして損害賠償などを求めていた訴訟は、ポスコが300億円を支払って和解した。被害に遭った企業が金銭補償を勝ち取ったことは当然だ。

 両社は提携関係にあるが、知的財産権を侵害されたとして新日鉄住金が提訴していた。技術を守るには毅然とした対応が必要なことを企業に示したといえる。同時に重要なのは日常の備えだ。グローバル競争の激化で技術流出リスクは高まっている。企業は厳格な情報管理など対策を強めてほしい。

 住友金属工業と合併する前の新日本製鉄から変圧器用の鋼板技術がポスコに流出した。新日鉄住金によれば、退職者がポスコ側に技術情報を渡した十分な証拠をつかめたため提訴に踏み切った。

 訴訟に実質的に勝てたのは証拠を確保したことが大きいだろう。ただ一般に技術情報の漏洩は立証が難しいとされる。技術を守る手立ては第一には、社外への流出を未然に防ぐことだ。その対策に企業はまず万全を期すべきだ。

 7月に不正競争防止法が改正され、技術情報を含む「営業秘密」の不正取得は罰金の引き上げなど罰則が強化された。技術流出を防ぐ抑止力が高まったといえる。

 だが営業秘密とそれ以外を分けて管理していなければ不正があっても罰則を科すのは難しい。企業の情報管理は中堅・中小を中心に甘さがあるのが実情だ。管理体制の早急な見直しが求められる。

 事業のグローバル化に伴い、海外にある部品メーカーなどの取引先に機密情報が漏れる危険は増している。取引先選びにあたっては十分な事前調査が必要になる。

 転職や退職する社員と秘密保持契約を結ぶことも欠かせない。実績に応じて報酬が増える処遇制度で優秀な人材を引き留めることも技術流出を防ぐため重要だ。

 機密漏洩は米企業でも増加傾向にあり、欧州でも問題になっている。日本企業も危機感を持ち続け対策を怠らないようにしたい。

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