2018年1月22日(月)

日本も他人ごとでは済まない難民問題

2015/10/1付
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 このままでは、エネルギーの多くを頼っている中東がさらに混乱し、不安定になってしまう。日本にとっても他人ごとではすまない。戦後、最も深刻といわれる欧州の難民問題である。

 欧州任せにはできないほど事態は切迫しており、各国で難民受け入れの動きが出ている。こうした状況を踏まえ、安倍晋三首相は国連総会の一般討論演説で、日本としても解決に向けて貢献していく姿勢を強調した。

 シリアやイラクなどの難民支援に、今年は、昨年の3倍にあたる約8億1千万ドル(約972億円)を拠出すると説明。中東やアフリカの平和構築にも、新たに約7億5千万ドル(約900億円)を供与すると約束した。

 欧州各国は分担して難民を受け入れているが、さらに数百万人がシリアから流入するとの見方もある。住宅建設や職業の訓練など、定住には多くの資金がいる。

 その意味で、日本による資金協力は大切だ。この資金には、日本の援助関係者が現地で活動するための予算も含まれているという。次の課題は、それを超えた貢献をどこまでやれるかである。

 日本への難民申請は急増している。昨年は5千人にのぼったが、難民と認定された人は11人にとどまっている。法務省は認定の運用を見直す方針を示したが、依然、「狭き門」だ。

 日本は今後もこの程度しか難民を受け入れず、その代わりに現地への人道支援を拡充していくのか。それとも、認定の基準をさらに緩め、もっと受け入れる方向に踏み出すのか。日本の進路にかかわる大きなテーマだけに、きちんと議論するべきだ。

 難民問題を解決するには、その根っこにある中東の混乱を鎮める努力も欠かせない。先に成立した安全保障関連法により、日本は国連平和維持活動(PKO)に一層、貢献しやすくなる。

 紛争が止まったとしても、被害をこうむった地域の復興や、元兵士らの再教育などやるべきことはたくさんある。安倍首相が表明した平和構築支援も、これらの需要を念頭に置いている。長年の援助で培った経験を、日本が生かせる余地は大きい。

 安倍首相は演説で、国連安全保障理事会の常任理事国入りに意欲を表明した。その成否は、日本がどこまで本物の国際貢献をできるかに左右されるだろう。

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