2019年6月26日(水)

アジアの安定に懸念残した米中会談

2015/9/27付
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アジア太平洋の安定につながるのかどうか。こんな思いを抱き、多くの国々が米中首脳会談を見守ったにちがいない。ところが、あらわになったのは対立の根深さであり、中国から責任ある行動を引き出すことの難しさだった。

オバマ大統領と習近平国家主席の会談は、海洋で強気な行動を繰り返す中国に対し、どこまで歯止めをかけられるかが、大きな焦点のひとつだった。

だが、目に見える成果はほとんどなかった。オバマ氏は中国が南シナ海の岩礁を埋め立て、軍事施設を建てている問題をめぐり、重大な懸念を伝えた。習氏はそれでも、中国の主権の範囲内の活動という立場を譲らなかった。

米中両政府は会談後、成果文書をそれぞれ別々に公表したが、いずれも南シナ海問題に言及していない。軍事施設の建設をやめさせるため、米国は中国への圧力を強めてほしい。

双方は、空中での衝突防止措置の枠組みでは合意した。昨年来、中国軍機が米軍機に異常接近する事件が相次いでいるためだ。意図しない衝突を防ぐうえで有効だが、まず、中国軍がそのような挑発をやめることが大切だ。

会談のもうひとつの焦点は、中国が関与しているとされるサイバースパイの問題だ。両首脳はこうした活動をしないことを確認。閣僚級の対話や、緊急連絡用のホットラインの設置で合意した。一歩、前進といえるが、解決にはもっと本格的な対策が必要になる。

海洋やサイバー問題は米国だけでなく、他の国々も大きな影響を受ける。日本は米国と連携し、中国に是正を働きかけてほしい。

会談では、人権派弁護士を次々と拘束するなど、習政権下で人権が弾圧されている問題も取り上げられた。習氏は国際社会の懸念を真剣に受け止めるべきだ。

一方で、環境や経済では、互いに協力に前向きな姿勢をにじませた。習氏は、温暖化ガスの排出量取引制度などを導入すると約束した。米中は温暖化ガスの二大排出国であるだけに、一層の努力を期待したい。

人民元をめぐっては、習氏が記者会見で「長期的に切り下げを続ける根拠はない。為替レートの市場化を進めていくことを約束する」と語った。中国経済の先行きには、世界的な不安も漂っている。中国は経済運営の透明性をさらに高めてもらいたい。

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