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参議院は何のために存在しているのか

安全保障関連法案の参院での採決をめぐる攻防がギリギリの段階を迎えた。与党が法案の成立を急いでいるのに対し、野党は採決の先送りに向けてあの手この手の戦術を繰り出している。二院制のもとでの第二院のあり方が問われる局面である。

特別委員会の開会をめぐり野党議員が通路をふさぎ、法案採決では与野党議員が入り乱れて激しくもみあう混乱ぶりは、言論の府にはやはり似つかわしくない光景と言わざるをえない。

野党は参院本会議で閣僚の問責決議案などを連発し、衆院にも内閣不信任決議案を提出、さらには長時間の討論で採決阻止をめざそうとしている。米映画「スミス都へ行く」でよく知られるフィリバスターといわれるやり方だが、こうした議事妨害は一概に否定できないとしても決して議会政治の王道ではない。

言論には言論で、正々堂々と向き合うのが基本のはずだ。社会をひとつにまとめていくのが政治の役割だとすれば、議会はそのために力をつくさなければならない。合意形成に向けた努力である。それに対する政権や政党への最終的な評価は選挙で有権者が示すことになる。参院の場合、来年夏の通常選挙がその機会だ。

第二院である参院には衆院とは別の役割が期待されているはずだ。それは「良識の府」や「再考の府」といった言葉であらわされている。

第一院である衆院の行きすぎをチェックし、足らない点を補う「反省の院」だ。採決阻止から議事妨害まで衆院と似たようなことをやっていては参院の存在意義は薄れてしまう。

参院に送られた法案が60日以内に採決されない場合は否決されたものとみなして衆院で再可決できる「60日ルール」の適用論が取り沙汰されたのもうなずける。そうした展開は参院の自己否定につながる。参院無用論が出てこないようにしなければならない。

「真実一路」や「路傍の石」で知られる作家・山本有三が書いた、無所属の議員で組織した会派「緑風会」の結成趣意書の一節に次のようなくだりがある。

「参議院は、衆議院と一緒になって政争をこととするようであっては、第二院としての存在価値はなくなると思う」

いま一度しっかりかみしめていい言葉だ。

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