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勤勉さで世界の名将に 実績重ねたエディー
(挑戦 ラグビー日本・中)理想忘れぬ現実主義者

2015/9/10 3:30
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水辺に木や土でダムを築くビーバーは勤勉の象徴とされる。ラグビー日本代表、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)の母国オーストラリアでのニックネームがこの動物だった。試合当日、目を真っ赤にして現れる。午前4時から練習の準備をする……。不眠不休の仕事ぶりを示す証言は多数ある。

ジョーンズHCの不眠不休の仕事ぶりを示す証言は多い=共同

日系人の母のもと、シドニー郊外で育った。「白豪主義」などの影響で差別意識が残る時代。幼い頃には嫌な思いもしたようだ。10歳からラグビーを始めたが、代表入りの夢はかなわず引退。スポーツ界の本流から遠いところから実績を重ね、母国の代表監督に就任。2003年には自国開催のワールドカップ(W杯)で準優勝した。

日本で一緒に仕事をしたコーチは語る。「日本人とのハーフで名選手でもないコンプレックスはあっただろう。代表監督になるまで相当な苦労をしたはず」。栄達の条件が並外れた努力だった。

昔から変わらないジョーンズHCの別の側面がある。ほとんどのチームで貫いてきた展開ラグビーへのこだわり。「ラグビーはボールが動くゲームであるべきだ。(リスクの低い)キックがメーンになってはいけない」

こちらも現役時代の無念が影響しているのだろう。15歳から毎日ジムで鍛えたが、高校卒業時の体重は60キロ止まり。小柄なフッカーは「自分がスーパーマンだったらいいのにと思った」。小が大に挑む構図は、世界の中の日本の姿と重なる。

「ジャパン・ウエー」という戦術の奥底にもその哲学がある。攻撃時には選手同士を近づけて配置。狭い空間で日本人の俊敏性を生かす。ハイテンポの連続攻撃も、持久力勝負なら小さい者にも分があるとみるからだ。

「細かいデータばかり気にして大きな絵を描けない」。豪州ラグビー協会のジョン・オニール元最高経営責任者の自叙伝に、かつてのジョーンズHCの評がある。日本の選手の実感は違う。「エディーはシンプルに物事を伝えて全員に浸透させる力がたけている。自分の思いを伝えるとき、普通は話が長くなるのに、これだけやれと言ってくれる」と五郎丸歩(ヤマハ発動機)。05年に豪州代表監督を解任。挫折を経たHCの変化だろう。

ジャパン・ウエーという言葉も「大きな絵」なのかもしれない。独自の戦いを貫くというメッセージが直截(ちょくせつ)的に伝わる。

細部にこだわる現実主義者の顔はその陰に潜む。5日のジョージア戦。先発メンバーからウイングを1枚削り、通常8人のFWを9人に増やす奇策を試した。W杯で対戦する巨漢ウイングへの防御策だが、ジャパン・ウエーからは離れる。

勤勉さに加え、この徹底したリアリズムこそが、多くのチームで実績を残してきた理由だろう。必要ならば変節を辞さず。W杯でも「表通り」の背後に、相手を驚かせる裏道、抜け道を用意しているかもしれない。

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