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懸念残る企業版ふるさと納税

政府が企業版の「ふるさと納税」制度を検討している。地方創生に役立つ自治体の事業に対する寄付を増やし、都市と地方の税収格差をならす狙いがある。

2008年に始まったふるさと納税は個人が自治体に寄付すると、2000円を超える部分について一定の範囲で税金が全額戻ってくる制度だ。これを企業も寄付できるようにするのが新制度だ。内閣官房と内閣府が16年度の税制改正要望に盛り込んだ。

企業の自治体への寄付は今でも全額が損金に算入される。新制度ではさらに、寄付額に応じて国に納める法人税、本社や工場、事業所がある自治体に納めている法人住民税を軽減する方針だ。

財政力がある東京などへの寄付は認めず、寄付の対象になる自治体の事業も内閣府があらかじめ認めたものに限るという。個人の場合の2000円に相当する企業自身の負担額をどの程度にするかが最大の焦点だろう。

企業が地域活性化を応援することは望ましい。新制度ができれば過疎地の自治体でも民間資金を取り込みやすくなる。自治体が政策を競う効果もあるだろう。

一方で懸念もぬぐえない。より多くの寄付を得ようと、自治体側が許認可や物品調達、入札などで特定の企業を不透明な形で優遇する可能性はないか。個人向けの現行制度でも、返礼品の高額化が問題になっているだけに心配だ。

寄付といえども企業側にも何らかの目的があるだろう。ふるさと納税が企業と自治体の関係をゆがめては困る。制度設計は慎重に進めるべきだ。

この制度が導入されれば、企業の本社が集中する東京などは減収となり、都市と地方の税収格差は縮まる。ただし、実際にどの程度効果があるかはわからない。

格差の是正に本当に取り組むなら、地方向けの補助金を極力減らす一方で、地域間の偏在が小さい税源を国から地方に移すのが筋である。政府はこの点も忘れないでほしい。

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