2019年1月19日(土)

力を隠さない中国とどう向き合うのか

2015/9/4付
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中国の大規模な軍事パレードは習近平国家主席が権力を掌握したと内外に示す場となった。一方で北京に敷かれた厳戒態勢は社会の不安定さをうかがわせた。

中国の軍事パレードは建国50年や60年といった節目の国慶節(建国記念日、10月1日)に実施するのが慣例となってきた。今回は初めて、抗日戦争勝利の記念日とされる9月3日を選んだ。

「反腐敗」を掲げる習主席は、軍の元制服組トップ2人の摘発などをテコにして、過去のトップに比べかなり早く軍権を固めたことをアピールしたといえる。

3日の演説では兵力を30万人削り200万人にすると表明したが、その真意は陸軍の削減と海・空軍と戦略ミサイル部隊の増強にある。習主席は軍改革を自ら主導する姿勢も誇示したわけだ。

ロシアも先に対独戦勝70年の軍事パレードを実施した。同じ戦勝国の英仏はドイツとの関係に配慮して目立つ行事を避けた。ロシアは米欧諸国との対峙もあり、第2次世界大戦からの歴史解釈の主導権確保を優先した。

中国の場合も、日中戦争の勝利から現在までの歴史解釈の主導権を共産党が握っていると訴える意味があった。旧日本軍と戦った主役は国民党軍だったので、そうした思惑は特に強い。今回、台湾の与党・国民党の連戦名誉主席(元副総統)をパレードに招き、台湾取り込みにも腐心した。

北京市内では前日から商店や飲食店がほぼ閉鎖された。それほどに治安の維持に力を注がざるをえないのが、社会の実情だ。軍事力の誇示は国際社会だけでなく国内にも向けた面があった。

中国政府はパレードについて「今日の日本、日本国民を標的にするものではない」と説明する。とはいえ「抗日」の名の下に1万2千人もの兵士を動員し、数々の最新兵器を見せつけられれば、日本としては身構えたくなる。

中国は南シナ海で一方的な現状変更を進めている。武力を誇示し実力行使も辞さなくなった中国とどう向き合うべきか、日本や世界は問われている。

安倍晋三首相は戦後70年の談話に侵略、植民地支配、反省、おわびを盛り込んだ。次の習主席との会談では焦点の「歴史認識」について丁寧に説明し、将来に禍根を残さないよう布石を打つ必要がある。中国にも大局を重んじる度量を期待したいところだ。

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