2018年1月19日(金)

東芝テック、電子レシート 家計簿と連動、販促にも

2015/8/29 12:00
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 東芝テックが会計の際に顧客に手渡すレシートを使い消費者向け事業(BtoC)に力を注いでいる。スマートフォン(スマホ)向けの専用アプリを通じて電子レシートを配信し家計のやりくりを手助けするほか、購入履歴をもとにお薦めの商品を提案する。頭打ちとなるPOS(販売時点情報管理)レジ市場の現状を打破するため、消費者との接点となるレシートをフルに生かす作戦だ。

スマホでレシートを受け取れる

スマホでレシートを受け取れる

 みやぎ生活協同組合(仙台市)で買い物をする女性はレジで、スマホのアプリを起動してバーコードをレジの定員に提示した。店員はバーコードを読み取り、会計を済ます。通常のスーパーのように紙のレシートは渡されず、代わりにアプリ上にレシート情報が残る。

 彼女が利用しているのは東芝テックの電子レシート「スマートレシート」というサービス。電子化したレシートをスマホで見られるようになり財布がすっきりしたり商品を返品するためにレシートを保管する手間が省けたりするだけでない。

 大日本印刷の提供する家計簿アプリ「レシーピ!」と連動し、家計簿にもなる。「これを見ればいくら使ったかすぐに分かる。使いすぎた月の翌月はセーブするなど節約にもなる」(同女性)

 3月にはみやぎ生協に加え、東北地方の3つの生活協同組合がスマートレシートを採用した。組合員証の情報とスマートレシートのシステムを連携させ、顧客が会員証を見せて会計をするだけでレジでスマホを取り出す手間も省いた。キャンペーンもはがきに切手をはらずスマホから応募できるようにするなど、アプリをテコに利便性を高めている。

 現在採用しているのは生協が中心。スマートレシート推進室の長谷川圭一部長は「POSの更新時期に合わせて導入を検討する企業が多い」と語る。来年度にはさらに採用が加速する見込みで、17年までに100万人の会員獲得を目指す。

 業界に特化したアプリ開発も並行して進めている。手始めにアパレル業界向けのアプリを開発した。消費者がレジで商品を購入すると、利用店舗があらかじめ登録しておいたお薦めの着こなし方を画面上に表示。消費者に再来店を促す。

 このアプリの特徴は商品の画像をタッチするとそのまま電子商取引(EC)サイトへつながること。16年度に提供を始める予定だ。合わせて、消費者の購入履歴をもとに、購入した商品と相性のよい新作商品を探せるアプリも開発した。お薦めの商品をモデルが着こなす写真を表示する。

 会員カードの個人情報などPOSレジから入手できるビッグデータは、販促や商品開発などに応用できる宝の山だ。だが、購入履歴をどの企業が保有できるのかという課題もある。東芝テックのサービスを導入すると、POSメーカー側が情報を握ることになる。電子レシートが生協以外での採用が遅れているのはこのためだ。

 小売店ごとにレシートに記載する項目が異なることもシステムの構築費用を増加させ、結果的に普及の足かせになっている。「ばらばらの画面は消費者にとって不便極まりない」と長谷川氏。東芝テックを含むPOSメーカーの業界団体は、規格や情報管理の在り方などについて基準の策定を急ぐ。

 POSはハードの単価が下落し、メーカー各社は付随するサービスで稼ぐ方向を模索中。電子レシートが普及すれば、ビッグデータ解析や販促などPOSメーカーにとっての商機が広がりそうだ。(川上宗馬)

[日経MJ2015年8月26日付]

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