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夏バテ撃退 ニンニクを効果的に調理するには

すりおろして早めに使う

 8月も下旬にさしかかり、猛暑の疲れがたまってきたのか、どうも体がだるい。スタミナ回復といえば、欠かせないのがニンニク。食欲を刺激し、体力をつけるのにぴったりだ。夏バテを撃退すべく、その活用法を探った。

いため物やパスタ、チャーハン。記者は普段から料理によくニンニクを使う。だが調理法は自己流で、効能も詳しく知らない。身近なのによく分からないニンニクについて勉強しようと、料理研究家で管理栄養士の村上祥子さんを訪ねた。

免疫力を向上 美肌にも効果

「ニンニクはたんぱく質の消化・吸収を助けてくれ、免疫力の向上やスタミナアップにつながります。冷えの改善や美肌など様々な効果がありますよ」。効果の源は「アリシン」という成分だが、切ったり刻んだりしないと生まれない。生のニンニクに含まれる「アリイン」とたんぱく質分解酵素「アリイナーゼ」が空気に触れて「アリシン」に変わるのだ。

ニンニクを細かく切り、なるべく空気に触れさせることで「アリシン」が増える。「滋養強壮にはすりおろすのが一番良い」と村上さん。スライスよりはみじん切りの方がいいという。

「アリシン」は揮発性なので、切って20分も置くと空気中に逃げてしまう。早めに使うことがポイントだ。60度以上になると酵素が働かなくなるため、最初からフライパンや鍋に油と一緒に入れ、中火または弱火でじっくり調理する。「これさえ守ればニンニクを効果的においしく調理できます」。低温の食用油と一緒になることで、ガン予防や血栓抑制にいいとされる「アホエン」も生まれる。湯煎にして温める手もある。

村上さんの一押しは生のニンニクと切ったタマネギ、砂糖、レモン汁をミキサーにかけた「にんたまジャム」だ。パンやクラッカーにつけて食べる。試しに口にしてみたら、タマネギの甘みがほんのり漂い、食べやすい。子どもでも喜びそうだ。

ではニンニクであればどれも同じなのだろうか。選び方のコツを探るべく、東京・恵比寿のニンニク料理店「にんにくや」へ向かった。店長の佐々木展弘さんのお薦めは国産。「値段は高いが、風味が良い。甘みがあって、においは少ない」。青森県田子町産のものを生のままかじらせてもらうと、輸入品に比べてツーンとくる辛さが少なく、まろやかだった。

気になるにおい 牛乳などで軽減

佐々木さんは「ニンニクと組み合わせると良いのは豚肉」とも教えてくれた。ニンニクから生まれる「アリシン」は疲労回復の効果があるビタミンB1の吸収を促す。ビタミンB1は豚肉に多く、ほかにもキノコ、豆類、玄米などに含まれる。

あとは、においが気になる。食後は口を開けるのもためらわれるあのにおいの正体は有効成分「アリシン」。専門家に聞くと、牛乳、リンゴ、カテキンを含む緑茶や青汁を取ることで軽減できるという。歯磨きする時には舌もブラッシングするといいそうだ。

教わったことを整理しながら国産ニンニクを買って帰った。効果の高いすりおろしをどう使うか。思いついたのが豚のショウガ焼きをニンニク焼きにアレンジすること。

ニンニクとしょうゆ、みりん、料理酒を混ぜ、フライパンで焼いた豚肉に素早く絡めて皿に盛る。ニンニクをベースにした甘辛いにおいが充満し、食欲を猛烈に刺激する。味も濃厚でパンチ力満点。炊きたてのごはんのおかずに最高だ。友人にも食べてもらったら「ニンニクの味が肉によく絡んでおいしい」と好評。昼食のおかずにしたが、その日は夜までずっと腹部がポカポカした。朝から悩まされていた二日酔いもいつの間にか消えていた。

だが長芋をソテーした際に、オイル煮にしたニンニクも加えたら不注意で焦がしてしまった。「たんぱく質と糖質があるニンニクは焦げやすい。火が入り過ぎると嫌な香りに変わります」(村上さん)。高温では栄養も十分取れない。すでに一度火を通したニンニクを使う際は、なおさら色の変化を見極めることが大事だった。

いつものパスタやチャーハンは、ニンニクをスライスではなくみじん切りにして使うなど「アリシン」が増えるように意識して調理した。

ほかにニンニクの使い道はないか。佐々木さんは「お風呂に入れるといいですよ」と言う。3かけほど、ネットに入れて湯船に入れると、ポカポカして肌がすべすべになるそうだ。余ったニンニクで試してみた。自分が煮物にでもなったような妙な気持ちだが、においはほとんどしない。確かに暖まるが、2、3日だけでは効果は分からなかった。夏場というせいもあるだろう。使い切れなかった時にはいい方法かもしれない。

体力増強に効果があるニンニクだが適量は「一日2~3かけまで」(佐々木さん)。食べ過ぎると赤血球を壊し、貧血の原因にもなるので注意しよう。

ニンニクとタマネギを使った「にんたまジャム」なら続けられそう
記者のつぶやき

ついた体力、気力も増す


 ニンニクのすりおろしはパワーがある分、口の中ににおいが残る。緑茶と牛乳を飲んでも消えない気がして、何度もうがい薬を使った。ニンニクとタマネギを使った「にんたまジャム」は甘みのおかげで強い後味はない。そのまま食べたり、味噌汁やいため物に加えたりして手軽に続けられた。
 8月に入ってから、なるべくニンニクを食べるようにしてきた。そのせいか、最近は体力がつき気力も増したように感じる。古代ギリシャの歴史家、ヘロドトスによれば、エジプトのピラミッドを建造した労働者には大量のニンニクとタマネギが支給されていたそうだ。そんな話も今は「なるほどそうだろう」と思える。
(関優子)
[日経プラスワン2015年8月22日付]

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