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ネット発のリアルイベント 売り手・買い手、出会いが魅力

(村山らむね)

今夏、インターネット発の大規模リアルイベントが続々と開催された。BASE(東京・渋谷)が主催した「WEEKEND BASE」と、クリーマ(同)が主催のハンドメイドインジャパンフェス(HMJ)、楽天による「楽フェス」に足を運んだ。HMJには約5千人のクリエーターが集結、約5万3千人が来た。楽フェスも想定の倍の人が訪れたという。

「楽フェス」は楽天が初めて仕掛けた食品以外も含めたリアルとネットの融合イベント。家族連れでにぎわい、日曜日は身動きができないほどの人混みだったそうだ。

ポイントをネットと相互活用できたり、出店した店で帰宅後に購入するとポイントが加算されたり。またイベントに来られない人にはネット上のイベントを用意したりと、ネットとリアルの融合を具現化していた。

ワークショップも興味深かった。例えば、「壁紙屋本舗」のブースでは実際に壁紙を貼り、「いかに簡単に壁紙が貼れるか」「いかに壁紙の種類が豊富か」がイメージできた。

食品コーナーでは人気のお取り寄せグルメを試食し、購入できる「うまいもの大会」のノウハウをうまく利用していた。食品以外でも、後日ショップに訪れたいと思うような店が多数あった。

HMJは小さなブースで様々なクリエーターがぬいぐるみ、陶器、アクセサリー、絵画など自分の作品を手売りし、大人の文化祭のようだった。実際の作者と会話を交わしながらの買い物はとてもテンションがあがる。

ネットショップ発のリアルイベントのポイントは何か。「WEEKEND BASE」で感心したのは、「客層、店のテーマ、場所」の3つのトーンをそろえたことだ。カワイイをテーマにした店が中心の原宿会場、日本の伝統品をテーマに据えた渋谷ヒカリエ会場、ギークが主題の秋葉原会場などだ。

本家の各種ミュージックフェス同様、フェスに訪れる客そのものも魅力だ。音楽フェスで客の「フェスファッション」が毎年話題になるが、原宿会場でも若い女性がカワイイを競い合っていた。

客が客を呼ぶためのソーシャルメディアの仕込みの重要さも痛感した。どのイベントもハッシュタグを表示して、交流サイト(SNS)への投稿を意識していた。「楽フェス」の千疋屋の丸ごとマスクメロンスムージー(3千円)など、思わずシェアしたくなる商品も効果的だった。

そして何よりフェスはアーティストを見に行くのが目的だ。商品を実際に手に取ることもさることながら、作り手と直接会話を交わすことが最大の魅力だ。HMJではSNSで人気の作り手が、アイドルのようにファンである客と一緒に写真を撮る光景も見られた。

アマゾンのように大量の商品があっという間に届く自動販売機のような巨大モールが勢いを増す中で、小ロットの手作り品を心待ちにする層が着実に存在感を増している。巨大モールと1点ものの二極化が進んでいる。

「楽フェス」の関係者によると、ネット上の客と間近に会えたことが店のスタッフのモチベーション向上に寄与したという。カスタマー・エクスペリエンス(顧客経験価値)は店のスタッフのエクスペリエンスでもある。その相互の出会いこそがフェスの魅力だろう。一過性のブームで終わらないことを心から望む。

(通販コンサルタント)

〔日経MJ2015年8月21日付〕

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