踊り場経済には景気対策でなく改革を

2015/8/18付
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4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%減、年率換算で1.6%減となった。

3四半期ぶりのマイナス成長は、日本経済が一時的に停滞する「踊り場」の局面に入ったことを示唆するものだ。

マイナス成長の主因は、輸出から輸入を差し引いた外需と、個人消費が落ち込んだことだ。

輸出は中国を含むアジア向け、米国向けが振るわず、品目ではスマートフォン向けを含む電子通信機器、建設機械、半導体製造装置などで減少した。

今年前半の世界貿易は、中国向けを中心に弱含んでいる。その影響が日本経済にも及んだ格好で、先行きは注視する必要がある。

内需の柱である個人消費が減ったのは、6月の長雨による天候不順といった一時的な要因が大きいと政府はみている。

企業収益は過去最高水準であるのに、GDPが落ち込んだ理由は、企業の海外部門の収益を含めるか否かの違いだ。

GDPに、海外からの利子・配当所得などを加えた国民総所得(GNI)というデータがある。実質GDPは前期比マイナスだったものの、実質GNIは前期比年率で2.0%増えた。

日本企業の海外子会社から得た所得を、いかに従業員への賃金、株主への配当、設備投資に振り向けられるか。今回のGDPは日本経済が好循環を続けていくための課題を示しているともいえる。

景気の先行きを過度に悲観視する必要はないだろう。雇用・所得環境の改善は続いている。先行指標である鉱工業生産の予測指数や景気先行指数は上向いている。設備投資もいちおう今年度は高水準の計画が予定されている。

問われるべきは、マイナス成長に陥りやすい日本経済の体質だ。今のところ4~6月期の成長率は主要先進国で最低だ。

日本経済の実力である潜在成長率は1%にも満たないとされる。成長の天井が低いため、国内外で起きた一時的なショックをうまく吸収できず、GDPが減りやすくなるというもろさを抱える。

規制改革で経済の新陳代謝を高めたり、法人実効税率を引き下げる道筋を早期に固めて日本の立地競争力を高めたりする。そんな改革を通じて潜在成長率を高めるのが王道だ。カンフル剤となる景気対策を打つことが答えではない。

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