2019年7月18日(木)

Z会、タブレット活用 授業配信、質問も気軽に

2015/8/15 12:00
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「Z会」の増進会出版社(静岡県長泉町)が急ピッチでICT(情報通信技術)化を進めている。アップルのタブレット「iPad」を使って子供の理解度に応じて映像で授業を配信したり大学生が相談に応じたりするなどサービスを充実させている。学年によっては既に紙よりタブレットの受講生が上回り、継続率も高まってきた。

増進会は「iPad」を使った通信教育に乗り出した(写真上)。解答用紙の画像ファイル上で添削され、返却される(同下)

増進会は「iPad」を使った通信教育に乗り出した(写真上)。解答用紙の画像ファイル上で添削され、返却される(同下)

「iPadスタイル」は中学1年生と、高校1~3年生が対象。受講料は高校生の場合、講座によって月2400円~4000円(別途基本料金が2000円)。紙の講座と料金は同じだが、内容は紙よりも大幅に充実している。

まず受講生は単元ごとに理解度を「習った」「習っていない」「自信が無い」から選ぶ。選んだ項目によって、学ぶべき映像授業の内容が自動的に提示される。

映像は増進会出版社の学習塾の講師が専用のスタジオで講義を収録。時間は1回あたり10分前後で、生徒が退屈しないようにした。

「Z会」の大きな特徴である添削にはタブレットのカメラを使っている。生徒は郵送で送られてきた解答用紙に書き込んで、それをカメラで撮影し、アップロードする。実際の入試は紙で行われるため、あえてこうした手順にした。

オンライン化により解答用紙の返却も早くなった。従来は解答用紙を郵送し、添削されて返却されるのに1週間かかったが、約3日に縮まった。

教育内容の充実に加え、もう1つ、ICT化で取り組んだのが継続率の向上だ。「Z会」は大学受験指導に定評があるものの、塾と異なり一人でコツコツやる通信添削では、途中で脱落する生徒も少なくない。紙の教材では「学習者同士の横のつながりや、双方向性に弱い」(Z会の草郷雅幸ICT統括室長)。

そこで、タブレットではわからない箇所があればメッセージ機能を使って質問できるようにしたところ、質問の量は紙の時に比べて7倍に増えたという。また、生徒が勉強している時間に、何人が学習しているか表示されるようにした。掲示板で、Z会OBやOGの大学生から勉強の仕方や進路相談などについてアドバイスも受けられる。

タブレットを使った講座のほうが紙よりも継続率が年ベースで10ポイント以上高い。既に中学1年生の半分以上が、高校生でも半分弱がタブレットを使って学ぶ。この比率は今後さらに高まるとみる。

7月にはシステム開発の米ニュートン社と提携した。同社のシステムを導入して一人ひとりにあった学習方法や教材を提供するオーダーメード教育を進めるためだ。生徒ごとの学習履歴を基に、苦手分野や最も効果的な学習方法を導き出す。

通信教育よりも教室での授業が適している生徒向けに、学習塾大手の栄光ホールディングスの買収により教室数も増やしている。

草郷ICT統括室長は「ICTは学習効果を高めるために必須だ」と言い切る。これまで先生がペンで紙に添削する教育スタイルを貫いてきた同社だが、事実上ICT化教育にカジを切り売り上げの回復をめざす。(新井惇太郎)

[日経MJ2015年8月12日付]

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