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考えられないこと 河野多恵子著

読むだけで幸福な気分に

(新潮社・2200円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

今年1月に亡くなった作家の最後の作品集。3つの短篇(ぺん)と、詩3篇と、短い日記を収める。どの作品も読むだけで幸福な気分になるが、「歌の声」と題された文章に特に魅了された。

コンチータ・スペルビアという「メッゾ・ソプラノ」歌手の話から始まり、蒐集(しゅうしゅう)していたSPレコードの話、その音質の豊かさを語る。そして筆は、自分が逝くときどの曲をどのようにかけてほしいかに及ぶ。「その時に聴かせてほしい曲も決まっている。ベルディの『ナブッコ』である」。

蓄音機で音楽を聴き続けた作家は、〈往け、わが思いよ、金色の翼に乗って〉の歌詞で始まる大合唱曲が「たまらなくいい」と書いている。珠玉の作品集である。

★★★★

(批評家 陣野俊史)

[日本経済新聞夕刊2015年7月23日付]
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

考えられないこと

著者:河野 多惠子
出版:新潮社
価格:2,376円(税込み)

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