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小型家電リサイクルの危機 回収、自治体頼みに限界

日経エコロジー編集部 富岡修

小型家電リサイクル法は国が認定したリサイクル事業者と自治体が連携してリサイクルを促す自由さを重視する。レアメタルを中心に回収し、海外流出を防ぐという目標もあり、多くの企業が認定事業者に名乗りを上げた。しかし、施行から約2年が経過し、回収量減少という壁にぶつかっている。

政府は2015年度の回収量の目標を14万トンと設定し、そこに至る目標として13年度を1万3000トン、14年度を5万2000トンと設定した。13年度の実績は2万3971トンを達成した。14年度の結果は近々発表される予定だが、達成はあり得る。

問題は15年度の目標達成で、今のままでは厳しい。その理由は回収量が伸び悩んでいることと、資源価格の下落で得られる利益が減っていることだ。関東や関西など一部の自治体に回収量の聞き取り調査をしたところ、2つのことが分かった。

まず14年度の回収量は、13年度と比べて増加が期待できる。13年度は取り組む自治体が少なく、取り組んでいても実施期間が短い自治体が多かったからだ。一方、14年度は年間を通じて取り組む自治体が多い。

例えばさいたま市は13年度は未実施で、14年度は年間81トンを回収した。13年度は2カ月のみの実施だった名古屋市も14年度はフルに実施して年間110トンを回収した。これらから14年度の目標達成はあり得る。

ただ、月間の平均回収量が伸び悩んでいる。14年度の実績と15年度の進捗状況を比べてみると、月間の回収量が伸びていない自治体が多い。月間回収量が伸びないと14年度の約2.7倍ある15年度の目標達成は厳しい。

むしろ、実施初年度より回収量が減った自治体もみられる。13年度は2カ月間で約32トンを回収した名古屋市の担当者は話す。「告知効果もあり、初年度は多く回収できた。しかし、一度出した後は回収量は減り、今年の平均月間回収量は初年度の半分の8トンで推移している」

資源価格の下落も痛手だ。さいたま市の担当者は「14年度と比べて15年度の1キログラム当たりの引き取り価格は3分の1に下落した」。横浜市の入札結果でも、回収した小型家電の15年度上半期の落札単価は、昨年上半期と比べて半値以下だ。

負のスパイラルから抜け出す方法はあるのだろうか。そのヒントは、北陸に地盤を持つ認定事業者の1つ、ハリタ金属(富山県高岡市)の取り組みだ。

驚くのは、小型家電の回収量だ。同社は14年度に富山、石川、福井県の29市町村から1034トンを回収した。回収エリアの合計人口は約200万人で、名古屋市の約230万人より少ないにもかかわらず、名古屋市の年間回収量である110トンの10倍近くある。

同社が集められる理由は、自治体のボックス回収に頼らず、一般廃棄物や資源ゴミの回収と併せて回収することにある。「例えば、金属くずの品目に小型家電を加えてもらい、同じ回収日に捨ててもらう。その後、事業者が選別すれば、住民や自治体の負担は少ない」と張田真社長は話している。

法律や回収場所の存在を知らない住民が多い中、自治体のボックス回収頼みは限界に来ている。次の一手が求められる。

[日経産業新聞2015年7月23日付]

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