多様な災害を予見し備えを

2015/7/21付
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今年は梅雨明け前から台風が多く発生し、先週末には台風11号が西日本を直撃した。日本列島では多くの火山で噴火活動が活発になり、地震も依然として多い。

自然災害が多発していることを踏まえ、中央防災会議は国や自治体の防災対策の進め方を示す防災基本計画を修正した。

昨年夏に広島市で起きた大規模な土砂災害を教訓に、地滑りの危険が高い地域を自治体が公表し、住民に早めの避難を促す。多くの登山者が犠牲になった御嶽山の噴火も踏まえ、登山者を守るシェルターの整備なども盛った。

貴い人命を奪った災害から学び、同じ被害を繰り返さないことは大事だ。4年前の東日本大震災の教訓は「想定外」をつくらないことだった。基本計画は起きてしまった災害の再発防止にとどまらず、今後起こりうる災害を予見して備える発想がほしい。

発生の恐れが指摘されながら、対策が遅れている災害のひとつが大規模水害だ。中央防災会議は2010年、荒川や利根川があふれると最大230万人が避難を迫られ、多くの地下街や地下鉄が水没するとの予測を示した。

これを受け、国は大規模な地下街を対象に浸水対策や避難計画づくりを義務づけた。だがビルやマンションの駐車場など中小の地下施設は対象外で、備えに死角が多い。市町村を越えて住民を受け入れる避難所の確保もこれからだ。

火山噴火への備えも不十分だ。富士山や浅間山が大規模に噴火すると、首都圏の広い範囲で火山灰が積もる。電力や水道の供給に支障が出たり、道路や鉄道網が寸断されたりする恐れが大きい。

市民生活への影響をどのように軽減し、企業活動の生命線であるサプライチェーンをどう維持していくのか。国や自治体は具体策づくりを始めるときだ。

列島の災害史をひもとくと、20世紀後半は大地震や火山噴火が例外的に少ない時期だった。これからは多様な災害を想定し、防災基本計画の抜本的な見直しが要る。

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