新陳代謝促す事業再生制度を

2015/7/8付
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経営不振に陥り、債務が過重になった企業の再生を迅速・簡便に進めるための事業再生制度の見直し論議が始まった。日本企業はバブル崩壊後に債務の重荷で身動きが取れなくなり、時間を浪費した苦い経験がある。産業を活性化し、日本経済の成長力を底上げするためにも、素早い事業再生を促す仕組みづくりが欠かせない。

焦点になっているのは2007年に導入された「事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)」と呼ばれる制度だ。会社更生などの法的整理では重要な役割を果たす裁判所が関与せず、当事者間の話し合いで債務カットなどを実施し、企業の再出発を促す仕組みだ。

法的整理に比べ、ADRは自由度が高く、軽減対象の債務を銀行からの借入金などに限定し、仕入れなどの商取引債務は継続できる。このため法的整理より信用毀損の度合いが小さく、事業再生の可能性が高まるのが特徴だ。

ただ、ADRの成立には関与する債権者全員の同意が必要で、ハードルが高い。バイオ企業の林原(岡山市)のように一部債権者の反対で途中で法的整理への変更を余儀なくされた例もあった。

これについて、弁護士らで構成する検討会が今春、「一部で反対があっても、再生を迅速に進めるべきだ」との立場から提言をまとめた。それを受けて、経済産業省など政府も関連法制の見直しに動き始めている。

日本の産業界は米欧に比べて産業の新陳代謝が進みにくく、これが経済の停滞の一因となった。

事業再生をめぐる制度がより使いやすくなれば、まだ傷の浅い、早めの段階で再建に着手できるようになり、企業が蘇生する可能性が高まるだろう。もちろん再生の見込みがない企業をいたずらに延命させる事態は好ましくない。両者のしゅん別は銀行など債権者の役割でもある。

景気好調で倒産件数が低めに推移する今を好機として、政府は事業再生制度の見直しを着実に進めてほしい。

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