2019年2月21日(木)

シリコンバレー流の「空気」 企業トップこそ感じて
伊佐山 元(WiL 共同創業者兼最高経営責任者)

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2015/7/3 6:30
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今週、当社のシリコンバレーオフィスには30~50代の大企業の社員が総勢21人集合した。目的は特にない。あえて言えばシリコンバレーのイノベーションの仕組みを少しでも理解するというふわっとした命題だ。ここまでだと、よくある悪しき企業の観光旅行で終わってしまう。そこで我々なりに工夫をして、能動的にビジネスアイデアを出し合ったり、街中のカフェでイノベーションの議論をしてもらったり、特定の課題の解決を考えさせたりするなど、いろいろな種類のワークショップを用意した。

いさやま・げん 1997年東大法卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。2003年から米大手VCのDCM本社パートナー。13年8月、ベンチャー支援組織のWiL(ウィル)を設立。

いさやま・げん 1997年東大法卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。2003年から米大手VCのDCM本社パートナー。13年8月、ベンチャー支援組織のWiL(ウィル)を設立。

月曜日には遠慮がちに「何でこんなところに来たのだろう」とよそよそしい様子で会社に集ったメンバーが、金曜日の夜には何ともさわやかな笑顔と前向きな気持ちを持っている。そして21人全員がイノベーションの同志となって週末を迎えようとしている。人はいくつになっても、環境さえ変えれば自分を変えられるのだ。

このシリコンバレー体験プログラムがここで終わってしまっては意味がない。日本の本社に帰ると、周りの空気を読みすぎて遠慮してしまう従順なサラリーマンに戻ってしまうからだ。いかにしてこの「シリコンバレーの空気」を社内に増やすのか、それが最大の課題である。

近年、大企業のシリコンバレーへの興味は高まっている。新しい事業や技術革新の不足。そうした危機感が昨今の動きに表れている。ただ「シリコンバレーに人を送れば何か良いことが起こるかもしれない」という受け身の姿勢では何も起きないことは、過去の多くのシリコンバレー駐在員戦略の失敗が物語っている。

シリコンバレーの活用を成功させるための要素はいくつかある。まず経営トップのコミットが不可欠だ。事業部レベルで議論したり、イノベーションの取り組みをしたりしたところで、ブームが冷めた頃には、忘れ去られる。

シリコンバレーを利用するオープンイノベーションを経営課題にしなければ、まともな新規事業や技術革新が起きるはずがない。中核事業を守り、少しでも伸ばしていこうとするとともに、新しいことを多く生み出そうとする企業文化を実践する。そうした「両きき」の経営がこれからは不可欠だ。

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