急増するサイバー犯罪 守る技術 遅すぎる成長
インテカー社長 斉藤ウィリアム浩幸

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2015/7/1 12:00
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日本で立て続けにサイバー事件が発生しています。私は2年前のコラム連載開始当初から、サイバーセキュリティーの重要性を指摘し続けてきました。現状はまさに「I told you so(言った通り)」です。

なぜ近年、急速にサイバー事件が増加しているのでしょうか。それは今年で50周年を迎えたムーアの法則で説明できます。

コンピューターの性能は1~2年周期で倍々に向上し続けてきました。技術の革新は同時に犯罪の高度化も同じ速さで促進します。しかし、人類はサイバーセキュリティーに対して相応のコストを支払ってこなかったのです。

インターネットの原型となる通信技術は、学術連携の基盤として1950年代に開発されていたものです。それがビジネスツールへ発展したのは、ようやく80年代になってから。その間、登場が待たれていたのはサイバーセキュリティーの技術でした。

わかりやすい例えとして、自動車の歴史もさかのぼってみましょう。1769年に発明された世界で最初の自動車の時速は3.5キロメートルほど。人間の平均的な歩行速度が時速4.8キロメートルであることを考えると、非常に鈍足でした。

理論的には、もっと速く走らせることは可能だったそうです。それにも関わらず、速度を制限した理由は何か。答えはブレーキ技術が未熟だったからに他なりません。いったん速度を上げた自動車は、慣性の法則によって急には止まれません。自動車を速く、かつ安全に走らせるには、優秀なブレーキ装置の開発が必要不可欠というわけです。

インターネットも使用者の大切な情報が守られる、という信頼性が保たれてこそ有用なものです。信頼に足りるセキュリティーがまるで存在しないならば、研究者の発明も、企業の技術も、国家の機密もすべて「だだ漏れ」。これでは誰も世界とつながろうとは考えもしなかったでしょう。

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