お気軽、放置系ゲーム キャラクターが勝手に成長
放置系は主にスマホを中心として近年急速に広まったゲームのジャンルだ。ほとんどが簡単な操作だけで遊べる。
仕事の合間に

定番として知られるのが、ビーワークス(東京・港)が2011年に開発したスマホゲームアプリ「おさわり探偵 なめこ栽培キット」だ。画面に表示される丸太に栄養剤などを与えて一定時間放っておくと、奇妙ななめこのキャラクターが生えてくる。画面のなめこを触ると丸太から離れ、「収穫」できるという単純な仕組みだ。今年5月にはシリーズ累計で4000万ダウンロードを達成した。
テクニカルライターの籠谷千穂さんは「なめこ栽培キット」シリーズのファンの1人だ。「なめこキャラクターの不思議なかわいらしさと斬新なデザインにひかれた」。ほぼ毎日、仕事の合間の気分転換としてアプリを起動し楽しんでいる。
「なめこ栽培キット」シリーズのアプリは提供を開始してから一貫して無料だ。ビーワークスの情報開発事業部でマーケティングを担当する伴雄斗さんは「もともと別のゲームの販促用に開発したという経緯もあり、当初は黒字化すら考えていなかった。課金システムを導入しなかったことで、かえって『安心して遊べるゲーム』という評価が高まった」と話す。

なめこのキャラクターは「キモカワイイ」と女性を中心に人気となり、アプリだけでなくぬいぐるみや書籍などの関連商品も多く発売されている。スマホアプリであまり遊ばずに、キャラクターグッズを熱心に集めるファンもいる。
昨年に提供を開始して以来、癒やされるゲームとして一気に人気になったのは、ヒットポイント(京都市)の「ねこあつめ」だ。かわいい猫のキャラクターの様子を眺めるだけのアプリだが、すでに550万ダウンロードを超えた。遊び方は、画面上の「庭先」にエサや遊び道具を設置して、後は待つだけ。アプリを操作せず放置しておくと、いつの間にか猫が集まっている。現在45種類いて、どの猫がいつ現れるかは分からない。
猫眺めて癒やされる

外資系企業に勤める20代の女性は、多いときで1日10回程度アプリを起動していた。「忙しさや住環境を考えると、実際に責任をもって猫を飼うのは難しい」ことから、スマホ画面上の疑似的な猫を気楽に眺めて癒やされる点が良かったと話す。
SELECT BUTTON(東京・渋谷)の「生きろ!マンボウ!~3億匹の仲間はみな死んだ~」も600万ダウンロードを超えた放置系ゲームだ。マンボウを育てる簡単な内容で、育成中に突然の死を迎えてしまうマンボウが弱すぎるとネット上で話題になり、利用者が増えた。
これらのアプリはどれも1人で遊べる一方、「自分のゲームは放っておいたらこんな状態になった」と、友人らとスマホ画面の画像をツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で共有して楽しむこともできる。
のめり込まない程度に遊べる気軽な放置系のスマホゲームを試すのも一興かもしれない。
(企業報道部 花田亮輔)
[日本経済新聞夕刊2015年6月25日付]
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