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沖縄の基地負担を全国で分かち合おう

70年前、沖縄では激しい地上戦が展開され、日米両軍にとどまらず、一般住民にも多くの犠牲者を出した。その痛みは沖縄の人々の心になお残っている。どうすれば本土と沖縄の感情的なしこりを解きほぐせるのか。あすの沖縄慰霊の日を前に考えたい。

沖縄戦の20万を超える戦没者の約6割が県民である。その半数近くが最後の3週間で亡くなった。守備隊の牛島満大将が首里の司令部での玉砕でなく、多くの一般住民が避難していた沖縄本島南部での戦闘継続を選択した結果だ。

中国の海洋進出によって、沖縄はいま日本の安全保障の最前線に立たされているが、沖縄には県民が再び捨て石にされると危惧する人が少なくない。頭ごなしに抑止力強化を説くのでなく、人命軽視だった旧日本軍の失敗を繰り返さない姿勢を示すことが大事だ。

沖縄も防衛力増強の必要性を認識していないわけではない。日本の最西端にある与那国島で今年あった住民投票で自衛隊の常駐受け入れ賛成が過半数を占めた。

だが、そうだとしても在日米軍専用施設の74%が沖縄にある必要があるのか。これが騒音・振動、大気汚染、米軍人犯罪に長年悩まされてきた基地周辺住民の偽らざる心境だ。こうした声には真摯に耳を傾けたい。

沖縄の普天間基地に常駐していたKC130空中給油機15機が昨年、山口県の岩国基地に移り、普天間の騒音はやや軽減された。

こうした事例を積み重ねていけば、「政府は沖縄の痛みをわかってくれている」と感じる県民が増えるはずだ。普天間基地の名護市辺野古への移設を円滑に進めるには地道な努力によって県民感情を徐々に変えていくしかない。

安倍政権は米軍とまずよく協議し、何が沖縄に必要で、何は本土でも困らないのか、などをきちんと仕分けすべきだ。

本土側の移駐先探しも重要だ。進んで米軍基地や部隊を受け入れる自治体はまずない。空中給油機の移駐は日米が合意してから完了まで20年近くかかった。

何よりも日本国民一人ひとりが日本の安保環境をよく理解し、基地負担を全国で分かち合う意識を持ってもらいたい。

沖縄には琉球王朝時代に交易などで関係が深かった中国に親近感を抱く人が少なくない。本土と沖縄の溝をこれ以上深めてよいことは何もない。

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