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「マイクラ」人気の秘密 ものづくり、子供夢中に

山田 剛良(日経NETWORK編集長)

「Minecraft(マインクラフト)」、通称マイクラというゲームソフトが今、小中学生の間で密かなブームだ。ほとんど宣伝していないのに口コミで広がっている。世界的にも若年層のプレイヤーが多いといわれており、海外では子供たちの創作意欲を刺激するマイクラの特徴を生かして公共施設のデザインを公募するという試みもある。ITの巨人、マイクロソフトも注目する次世代ゲームの正体に迫った。

「子供たちの『熱』がスゴい。これは流行ると直感した」。コロコロコミック(小学館)の和田誠編集長代理はこう話す。小学生男子のバイブルとも言われる同誌では、ソニー・コンピュータエンタテインメントが国内版を発売した昨年夏ごろからマイクラの紹介記事をほぼ毎号掲載している。同社が主催する小学生向けイベントでもマイクラが一番人気で、毎回整理券があっという間になくなるという。

和田氏がマイクラに注目したのは1年ほど前。自身の娘がスマートフォン(スマホ)版のマイクラに「いつの間にかハマっていた」という。実は筆者も中学1年の息子が急に「マイクラをやりたい」と言い出してこのゲームを知った。友達からの口コミで興味を持ったという。現在小5の娘によると「今はクラスの男子は全員やってる」くらい流行っているそうだ。

マイクラはなかなか言葉では説明するのが難しいゲームだ。プレイヤーは箱庭のような仮想空間に放り出され、地面からブロック状の素材を掘り出し、道具や建物を作る。ゲーム内にはどうやって遊ぶのかの説明はほとんどない。

「正直言って何が楽しいか、さっぱり分からない」と和田さん。筆者も全く同感だ。だが、専門家の見方は異なる。フリーのゲーム開発者の中嶋謙互氏は「他のゲームとは比較にならない自由度の高さが特徴」とマイクラの魅力を解説する。

敵のラスボスを倒すのが一応の目的だが、小学生たちが遊ぶ様子をみると、むしろ自分なりの創意工夫でモノづくりを楽しんでいる。頭が柔軟で発想が豊かな小学生だからこそ、対応できる。「大人はもちろん、中学生でも遅すぎるくらい」と中嶋氏は話す。

子供たちの創作意欲を刺激するマイクラの特徴を生かす動きもある。南オーストラリア州政府は今年4月、州内の小学生を対象に、マイクラを使った国立公園内の施設デザインの公募を始めた。応募されたデザインの中から選ばれたものを、実際の施設整備に活用する計画だという。

マイクラはその人気の広がり方もユニークだ。新しい遊び方が見つかると、ユーチューブなどの動画共有サイト交流サイト(SNS)を通じて世界中に伝わっていく。こうした口コミだけで、ほとんど宣伝なしに、全世界で1億人以上が楽しむゲームに育った。ユーチューブとSNSを日常的に使いこなす次世代のデジタルネイティブ(生まれながらにインターネットやスマホに慣れ親しんだ世代)を象徴するゲームといえる。

米マイクロソフトは2014年9月に25億ドル投じて、マイクラの開発元であるスウェーデンのモヤンを買収、傘下に収めた。サトヤ・ナデラCEO(最高経営責任者)の肝いりと言われるこの買収の真意はあまり明らかにされていない。ナデラCEOは次世代のデジタルネイティブをいち早く取り込むために、先手を打ったのかもしれない。

[日経MJ2015年6月22日付]

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