2018年12月12日(水)

「同一賃金」は企業自身の手で

2015/6/19付
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仕事が同じなら、正社員か非正規社員かにかかわらず賃金を同じにする。そうした「同一労働、同一賃金」の実現に向けた法案を、自民、公明、維新の3党は今国会で成立させる考えだ。

職務に応じて待遇を決めるという考え方はもっともだ。ただし、それには日本企業が、曖昧な面のある正社員の仕事の範囲を明確にすることが前提になる。法案は国が正社員と非正規社員の処遇制度の共通化を促すとしているが、政府の介入は混乱を招く。処遇改革はあくまで企業自身の役割だ。

労働者派遣法改正案に反対する維新の党や民主党などは、対案として「同一労働同一賃金推進法案」を共同提出していた。与党は派遣法改正案の衆院委員会での採決に維新の協力を得る代わりに、同一労働同一賃金推進法案を修正のうえ成立させることにした。

法案は、雇用形態による賃金の違いの実態を国が調査し、非正規社員が職務に応じて処遇されるよう施策を講じる、としている。

「同一労働、同一賃金」は欧米で浸透している。日本でも、非正規社員の処遇改善につながる仕組みになるのは確かだろう。ただ、欧米の企業では仕事内容で賃金を決める職務給が確立している。

対して日本の企業では一般に、正社員は雇用保障がある代わり職務範囲が一定せず、指示された仕事に柔軟に対応しなくてはならない。まずは企業による正社員の働き方の見直しが必要だ。問われるのは企業自身の実行力だ。

維新、民主などの提出法案は派遣社員について、仕事が派遣先の正社員と同じなら待遇も均等にするとの規制を設けるとしていた。この点は与党と維新が修正し、責任の違いなどを考慮した「均衡」処遇も認めることにした。日本企業の実情に多少は配慮したわけだが、問題はなお大きい。

正社員の職務の見直しが進まないまま規制を設ければ企業活動に支障が出かねない。先走った「同一労働、同一賃金」の制度化は害がある。法案は見直すべきだ。

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