ヨドバシ、SIMフリーに重点 端末・格安カードまとめる

2015/6/13 12:00
保存
共有
印刷
その他

ヨドバシカメラが5月中旬、旗艦店のマルチメディアAkiba(東京・千代田)に開設した「ヨドバシカメラSIMフリーカウンター」が盛況だ。購入した携帯会社以外でも使える「SIMフリー」の携帯端末や格安SIMカードをひとまとめにした業界初めての売り場。ヨドバシ独自の設定サービスも提供し、注目を集めている。

ヨドバシはマルチメディアAkiba(東京都千代田区)に設置したような専門カウンターを全店に広げる方針

ヨドバシはマルチメディアAkiba(東京都千代田区)に設置したような専門カウンターを全店に広げる方針

新しい売り場は台湾・華碩電脳(エイスース)の「ZenFone(ゼンフォン)5」やVAIO(バイオ、長野県安曇野市)が日本通信と共同開発した「VAIOフォン」など、国内外メーカーのSIMフリー端末がずらりと並ぶ。格安SIMカードの申し込みもその場ででき、対面式のカウンターでスマートフォン(スマホ)の初期設定や修理も受け付ける。

「とにかく携帯を安くしたいんですよ。格安に移行した場合のデメリットはありますか」。携帯を品定めしている40代の会社員に、店員がアドバイスする。「今お使いのメールアドレスは使えなくなります。大手キャリアから転出する際に料金も発生しますね」

販売した携帯電話端末を、他の携帯会社では使えないようにする「SIMロック」解除の義務化が5月に始まった。大手キャリアはSIMロック解除の手続き方法を次々と発表。各社の格安SIMサービスが乱立し、どれが自分に合っているか初心者には選ぶハードルが高い。

だが、各社のサービスを比較できる売り場はほとんどない。その点、ヨドバシでは端末、SIMカードともに複数社の商品を、販売員に相談しながら選ぶことができる。「今年はSIMフリーの普及元年といっても過言でない」(ヨドバシの販売本部長を務める日野文彦常務)。新しい売り場は普及戦略の柱だ。

SIMカードでは仮想移動体通信事業者(MVNO)の8社と協力。NTTコミュニケーションズ、ニフティやビッグローブ、KDDI子会社のKDDIバリューイネイブラー(東京・新宿)の「UQモバイル」など主要サービスがそろう。

中でも目玉は音声通話機能付きで税込み月1300円からと業界最安値圏のワイヤレスゲートのSIMカードだ。ヨドバシは同社と提携することで独占販売する。

NTTドコモの顧客情報管理システム「アラジン」などを置き、大手キャリアからの乗り換えもその場でできる。ヨドバシの渡辺哲也事業本部長は「SIMフリーや格安SIMカードのニーズが高まれば量販店から大手キャリアへの提案力が高まる。メーカーにキャリアとひも付く端末だけでなく、独自のSIMフリー端末も増やしてほしい」と話す。

量販店各社の動きは活発だ。ヤマダ電機も5月、通信サービスのU-NEXT(東京・渋谷)と組んで、ヤマダのブランドを付けたSIMカードを即日引き渡すカウンターの設置を東京と大阪の計3店で始めた。今後、同様のカウンターを都市型店に拡大する。2位のビックカメラも8月末までに全33店で自社ブランドの格安SIMカードを即日で引き渡せるようにする予定だ。

「格安サービスのシェアは全体の1割に相当する1000万回線まで伸びる」(ヨドバシ)。キャリアが引き留め策に出るとみられ「15~16年のうちは流動性は低い」(通信アナリスト)ともいわれるが、将来的には一定の市場を形成しそう。

携帯の販路のうち量販店の割合は2割で横ばいが続く。だがSIMロック解除を契機に消費者ニーズにきめ細かく対応すれば、量販店が再び販路を伸ばす可能性もある。(大本幸宏)

[日経MJ2015年6月10日付]

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]