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高すぎるシリコンバレーの住宅 1億円以上がざら

フィル・キーズ(米ブルーフィールドストラテジーズ アナリスト)

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校によると、現在のカリフォルニア州の雇用数はリーマン・ショック前の数字を超えてきた。シリコンバレーであれば、2005~13年の間にテクノロジー関連業界の雇用はサンマテオ郡で50%、サンタクララ郡で46%、サンフランシスコで2倍に増えた。さらにシリコンバレーのテクノロジー関連業界の年間収入は米国では最高水準で、シアトルより66%高いという。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

こうした経済環境や快適な気候などからシリコンバレーは生活するのに良い地域だと思われているが、住宅の価格が高いのが重要な問題だ。米社の調査によると、15年4月のサンタクララ郡の住宅の平均価格は90万5000ドル(約1億1200万円)、サンマテオ郡であれば119万4500ドル(約1億4800万円)だった。家賃も高い。15年第1四半期では、サンノゼ市内で2つの寝室、2つのバスルームがあるアパートであれば、1カ月の家賃は約2600ドル(約32万円)になるという。シリコンバレーに引っ越しを考えると、高い給料を得ている人でも、住宅の高いコストで経済的に苦労すると思われる。

日本に比べるとカリフォルニア州は土地が広大だ。それなのになぜシリコンバレーでは住宅の価格は高いのか。理由の1つは日本人にとっても分かりやすい。それは、シリコンバレーの土地は西や東、北を山に囲まれて、住宅を建てることができる土地が比較的少ないからだ。このため地価が高くなり、住宅価格にも影響をする。シリコンバレーの周囲の山は高くて1000メートル程度だ。丘と呼ぶ方が正しそうで、住宅を建てるのは可能だ。だが、シリコンバレーで以前から生活している人たちはシリコンバレーの自然の雰囲気が気に入っていて、山の中に住宅などを建てにくい対策を実施している。例えば私が住んでいる地域では、周辺の山に新築した住宅には水道などのサービスを提供しないという法律がある。

それでは、限られた土地に高いマンションなどを建設するという手法が考えられる。ただ、サンフランシスコやオークランドの大都市を除いて、シリコンバレーは住宅が多い。こうした街で生活している人は、そのままの街の雰囲気を維持していくのを望んでいる。従って、高いマンションなどを建設する計画がいったん浮上してくると、反対する傾向にある。例えば15年5月にテクノロジー関連企業やベンチャー投資家が多いパロアルト市の市議会が、オフィスとアパートが入る4階建てのビルを建設する計画について、大きすぎるという理由で許可しなかった。シリコンバレーの人たちはいったん住宅を購入すると、市場価格が上昇したとしても手放さずに住み続ける場合が多い。このため、比較的購入しやすい中古住宅も出回りにくくなっている。

シリコンバレーに新たに住宅を建てようと考えたとしても、地価が高いという理由によって多額の資金を用意しなければならない。シリコンバレーの新しい住宅地をみてみると、2階建ての家が建っている場合が多い。それぞれの住宅の土地は狭く、庭も小さい。雰囲気は日本の住宅地とほぼ変わらない。シリコンバレーのビジネス業界や政治家は今後も経済発展を継続させるため、住宅問題を解決する必要性を認識している。だが、今までには有力な対策が登場していない。

[日経産業新聞2015年6月9日付]

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