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関西・伊丹の空港運営 オリックス「宮内流」の視界

 オリックスと空港運営大手の仏バンシ・エアポートの企業連合が、関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港の運営権を取得する見通しとなった。45年間という長い運営期間や、2兆円を超える取得総額に不動産や商社の大手が尻込みしたが、オリックス連合は5月に締め切られた1次入札で唯一、正式に手を挙げた。強気の背景には宮内義彦シニア・チェアマン(79)の積極姿勢があった。

うちは西へ行く

「うちは仙台空港はやらない。西へ行くよ」。宮内氏は昨年12月、合計の旅客数が3500万人近くにのぼる両空港の運営に意欲を示した。コンセッションと呼ぶインフラ運営権の譲渡の大型案件だ。仙台空港と並んで昨年夏から具体的な入札手続きがスタートした。目指すは来年春の運営開始だ。

コンセッションはアベノミクスの成長戦略に位置づけられたが、関空・伊丹空港の入札プロセスは薄氷だった。宮内氏が西へ行くと言った昨年12月、三井不動産や東京急行電鉄など9社が応札に必要な事前審査を通過したが、今年5月の1次入札ではオリックス以外すべておりた。

国土交通省や国100%出資の新関西国際空港会社(大阪府泉佐野市)は45年間で総額2兆2千億円の負担という条件を示す。多くの企業で社内の意見がまとまらなかった。「航空市場は感染症やテロなど思いがけないリスクがある」「45年間もひとつの事業に責任を持つと約束するのは難しい」――。ある企業は仙台空港の運営権を100億円程度とみており、関空・伊丹は格段に規模が大きい。

宮内氏は揺れたオリックス社内を一蹴した。「宮内さんはオリックスを世界の企業へとステージアップさせたい思いが強い。コンセッションはその好機」。オリックス関係者はこう解説する。

宮内氏は1980年に社長に就任し2014年まで会長や最高経営責任者を務め、金融サービスなどで売上高約2兆1千億円、営業利益約2500億円(15年3月期)にまで成長させた。14年にシニア・チェアマンに退いたが「オリックスの長期の戦略をじっくり考える」と述べ、より成長させようとの意欲をのぞかせた。

コンセッションは国内で福岡空港や高松空港などが今後の候補に挙がっている。海外は日本よりも先行し、新興国も含めて世界で空港や道路、水道などでの導入が進んでいる。宮内氏には足元の日本での大型案件は大きな好機と映った。

オリックス連合は空港を運営する新会社を共同出資でつくる。共同出資会社は旅客ターミナルなどへの投資を銀行からの借り入れなどでまかない、負債を抱える。オリックスの新会社への出資比率が過半になるとこうした負債がすべてオリックスにのしかかる。このため出資比率は抑える方針だ。出資比率に応じた負債を負うだけで済む。

大和証券の芹沢健自クレジットアナリストは「(共同出資の空港運営会社が)連結対象にならないのであれば、財務負担はそれほど大きくはない」と話す。グループのオリックス不動産のノウハウを生かして空港内の店舗運営や施設管理を効率化し、周辺の開発も進めれば総合的な収益を出しやすいと計算する。

関空は格安航空会社(LCC)専用の第3ターミナルを16年後半に運用し始める。国内で最もLCCの路線が充実しているが、さらに中国路線などアジアを中心に強化する方向だ。仏バンシは欧米やオーストラリアとの直行便を増やす考え。

商業ノウハウを持つオリックスにとって伊丹空港周辺にも開発余地がある。新関空会社は、広さ6.2ヘクタールの駐車場地区や国の宿舎跡地とあわせて5.4ヘクタールある貨物地区は「運営権の取得者が活用できるよう準備している」。

内外で大型狙う

オリックスが手を挙げた背景にはフランスの建設大手バンシの子会社、バンシ・エアポートとのタッグが決まったことも大きかった。ポルトガルのリスボン空港など20を超す空港運営の実績がある。オリックスは「国内外で大型コンセッションをやっていきたい」と公言しており、社内には「ベストパートナーだ」(オリックス幹部)との手応えがある。

ある外資の空港運営会社の担当者は「これだけ価格が高い中、普通の日本の事業会社が応札するのは難しかったのだろう」と話す。国内企業が相次いで尻込みしたのを目の当たりにし「宮内氏のような絶対的なリーダーしか決断できなかった案件だった」と振り返る。

関空の入札プロセスを通して見えた課題は、企業側に投資妙味を感じさせないと、各社が競争して運営権取得を目指すような理想型にならないという点だ。

新関空会社の14年3月期の営業利益は前期比36%増の442億円。中国などからの外国人観光客が増え、関空の国際線が過去最高となったことが大きい。だが、中東やアジアの空港が世界中に路線を広げて成長しており、空のグローバル競争は激しい。オリックスは今後、両空港の運営をより柔軟に、負担も少なくできないか交渉を続ける構えだ。関空・伊丹運営に踏み出そうとする「宮内オリックス」。思惑通り、世界へ羽ばたいていけるか。

(飯山順、小川和広)

[日経産業新聞2015年6月8日付]

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