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バター不足が迫る酪農改革

政府は生産者保護の目的で輸入を規制しているバターや脱脂粉乳を10月末までに緊急輸入することを決めた。バター不足は昨年末も深刻になり、スーパーが顧客に対して購入量を1人1個に制限したり、最需要期の菓子業界が手当てに困ったりしたばかりだ。

輸入を規制している以上、政府は消費者や食品企業が混乱しないように十分な供給量を確保してもらいたい。しかし、それ以上に深刻な問題は国内の酪農業が衰退し、牛乳や乳製品の原料になる生乳の生産が減り続けていることだ。一時的な生産者支援でなく、抜本的な対応策が急務だ。

日本には農産物の生産や流通に複雑で硬直的な仕組みが多く残る。酪農はその最たる例だ。酪農家が生産した原料の生乳は、原則すべて農業協同組合をベースにした全国10地域の「指定団体」が集荷・販売する仕組みだ。

生乳の流通は指定団体を通じ、牛乳向けと加工向けの用途別に管理される。生乳は日持ちのしない牛乳向けの供給が優先され、残りがバターや脱脂粉乳といった加工向けに回る。価格もそれぞれ指定団体と乳業大手の「乳価交渉」で毎年決まる。

北海道を中心とした生産者の間には、需要の変化に応じて自由に販売先を選べない制度に対する不満が強い。指定団体が「アウトサイダー」と呼ぶ民間卸会社へ出荷する生産者が増えてきた最近の変化は当然だ。

離農が進み生乳生産が減少する主因は、円安による飼料価格の上昇や光熱費の増加が出荷価格に十分に転嫁できていないことだ。価格上昇が増産を促す市場の機能が働いていない。

生乳取引には、法令を上回る3.5%の乳脂肪分を基準とする慣行もある。高い乳脂肪分を求めるルールは、牛に大量の飼料を与える飼育手法を強いる。それが飼料コストを増やし、牛の寿命にも響くとされる。バター不足は問題の一角にすぎない。旧来の制度や慣行を抜本的に見直すべきだ。

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